いつの頃からか毎日のように家呑みするようになっていた。以前はほとんど家で吞むことはなかったのに。かと言って、外で呑むこともそう多くはなかった。
馴染みの店ができて週末ごとに通うようになったのはいいが、コロナ禍で飲食店が軒並み営業を見合わせた頃から、代わりに週末は家で呑むようになり、それがいつしか毎日のように呑むようになっていたってところ。
吞みながら好きな音楽を聴いたり、ライブDVDを観るのは店で吞むのとは違った楽しみがある。だが、そればかりではなく、ついつい録り溜めたテレビ番組なんかも見ることが多くなり、晩酌からダラダラと呑み続けていると、あっという間に就寝時間。
そんなのが続くと何が起きるか?
次の日の仕事に響く。ドックの数値が…。
いや、そんなことではない。
音楽は聴いているものの、それ以外のことができなくなるのだ。趣味のベースを弾いたり、映画を観たり、そしてなんと言っても読書する時間を失っていたのだ。
通勤のバスの中で読書できないわけではないが、リモートワーク主体となって会社に行くのは週に1~2回なので、ここでもほぼ読書の時間を失っていた、と言っていい。
以前は仕事上を含め、週に2~3冊の本は読破していたのが、気が付いたら1か月に1冊読んでいるかどうかの状態にまでなっていた。
音楽やテレビ番組からも様々なことを吸収できないわけではないが、やはり、読書によってもたらされる知識の蓄積は計り知れないものがある。
インプットが少ないとアウトプットできるものが少なくなるのは至極当然のこと。しかも少なくなることに加え、アウトプットの質が落ちていきもする。ここのところの自分のブログを顧みながら、そんなことがふと頭の隅をよぎる。
ってことで、晩酌の回数を減らすことで読書時間を(ベースを弾く時間も)確保することを決意。早速ビジネス書やら小説やら何冊かの本を買い求め、買ってそのままの未読の書と合わせ秋の夜長にゆっくりと読み進めることに。
◾️60sロック自伝/鮎川誠
60年代を中心としたロックを彼の辿ってきた軌跡と合わせ紹介しているのだが、単純にギターを愛する偉大なロックミュージシャンだなんて思っていたのは大間違いで、この本を読み進めるごとに彼のロックミュージック全般に関する博識ぶりに感服する。
デビュー前からどれだけ多くの音楽に触れてきたのだろうかと思えるほどに、ジャンルも様々に多くのロックミュージックを愛情たっぷりに語っていて、彼の語り口に吸い寄せられるようにどの曲も聴いてみたくなるのだから不思議。
紹介されるほとんどの曲は自分のコレクションにないものばかり。すべて買い揃えて片っ端聴いてみるなんてことはできないので、興味が湧いたものはその都度Apple Musicで検索して聴いてみた。そういう意味では本当にいい時代ではあるのだが、やはり苦労して手に入れたり、友人に頼み込んで借りたりしてようやく聴くことで、ある種の愛情が湧いてくるはずなんだけど、そんなことには遠く及ばず。この本からは、そうやっていろいろ苦労しながら様々なロックナンバーに出会ってきた氏の愛情がひしひしと伝わってくるのだ。
印象的だったのが、娘さんから「この曲は素晴らしい」とパーシー・フェイスの夏の恋の日という曲を薦められ、やっばりいい曲はいいよねと教わったというエピソード。
音楽への向き合い方も含めて、とても勉強になる良書ってことで大推薦の一冊である。
◾️黒子のリーダー論/丸山茂雄
モッズファンなら誰しもその名を知る、モッズ育ての親でもありEPICソニーのTOPでもあった氏が、日本経済新聞で連載していた「私の履歴書」をベースに改めて加筆、対談を加えたもの。
日本経済新聞出版からの刊行ということでビジネス書に分類されるのだろうし、きっと多くの読者にもそう捉えられるのだろうが、モッズファンの視点から読み進めている自分には、書名にあるリーダー論というよりは、氏の豪放ぶり、器の大きさに心を奪われたというか。
単純にモッズ育ての親としか認識していなかったが、CBSソニーグループの代表取締役であったり、一時期は音楽業界から離れ(?)プレステ誕生に大きく関わっていた大物だったと今さらながら知るという、相変わらず自分の無知ぶりが露呈。
ちなみにこの本でモッズのことは語られていないので、その辺を期待して読むと肩透かしを食らうので注意。モッズ関連の書籍には必ずと言っていいほど登場する氏ではあるが、モッズ35周年の年にリリースされたアンチノスイヤーのボックスに付属されたブックレットでの森山達也との対談が氏とモッズに関するエピソードを知るにはオススメ。
ついでと言ってはなんだが、この本に出合ったのも何かの縁ってことで、買うのをためらっていたEPIC25周年を記念して2003年に開催されたLIVE EPIC25のBlu-rayも購入。一昨年のEPICスペシャルのプレイヤー誌と合わせて日本のロック界に大きく貢献したEPICの歴史に浸っている日々である。
他にも北海道江別市在住の小路幸也氏の小説や、日本書紀、古事記関連の書籍が未読のまま本棚の片隅に置かれたままなので、しばらくは平日の夜に読み進めることにしよう。
この積み重ねがいつかどこかでちょっとしたアウトプットに繋がることを少しだけ期待するのも悪くはないかなってことで。
とりあえず今日はこれからミンクスのライブに出かけて、熱いロックミュージックをインプットしてくることにしよう。
今週も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。