1987年(昭和62年)

若干23歳にして独身最後の年。


マイケル・ジャクソンの来日、石原裕次郎の訃報、JR誕生、大韓航空機爆破事件、スーパードライ発売開始等、この年もまあまあいろいろと騒がしい年ではあったが、日本のロック界ではラフィン・ノーズの野音公演で押し寄せた観客3人が亡くなる大きな出来事が今でも記憶に新しい。

また、1985年に雑誌宝島が設立したレーベルのキャプテンレコードから始まり1989年のイカ天まで続く80年代後半の空前のバンドブームの丁度中間地点でもあった。

前年の1986年辺りからこの年にかけては、パンク、ニューウェイブ系バンドが続々とメジャーデビューを果たしていた記憶があるが、その中でも筆頭に挙げられるのがブルーハーツだろう。

この年の2月にインディーズレーベルからシングルレコードの人にやさしくをリリースし爆発的なヒットとなり、同年の5月にはシングルのリンダ・リンダとアルバムTHE BLUE HEARTSをリリース。

個人的に大きなインパクトを受けたのが3月に発売された3曲入りビデオTHE BLUE HEARTS。

倉庫内で撮影された一発撮りのスタジオ・ライブ。絶妙なカメラワークで映し出されるヒロトの狂人的なパフォーマンスに一発ノックアウトを喰らってしまった。

この年の夏、東京で働く彼女が地元に戻ることになり、その引っ越しの手伝いのために東京を訪れた時、運よくブルーハーツの野音公演の当日券を手に入れることができ、最後列から彼らのライブを目にした興奮は、引っ越し手伝いのお礼にと巣鴨で生まれて初めてうな重をご馳走になった感動と合わせて、この年一番の思い出である。

この時の野音は先のラフィンの事故により開催も危ぶまれたが、客席がまるで檻のような柵で区切られた厳重な警備体制の中で決行されたことも付け加えておこう。


キャプテン・レコードからリリースされたTHE POGOのミニアルバムHYSTERIC GENERATIONもこの時の東京で買ったはず。

実は宝島を愛読していた割にはキャプテンレコードからリリースされるレコードはほとんど買っていなくて、リアルタイムで買ったのはこのミニアルバムとロンドンタイムスの無気力な時代くらいだった。

良太の独特な声は好みが別れるところだろう。その後、この後の作品に手を出さなかったのは、もしかしたらそんなとこも理由のひとつかも知れないが、モッズバンド風のロンドンタイムス以上に結構な頻度でターンテーブルには上がっていたのは、ハードポップなパンクサウンド自体は好みだったのだろう。


このTHE POGOとバンド間でメンバーが行き来することもあったKEIZI & THE TRIPSがメジャーデビューしたのもこの年。

THE POGO同様、ポップなパンクサウンドで人気を博していたのだろうが、デビューシングル ダイアナのB面BALLADに捧ぐやセカンドアルバム収録曲1988で聴けるダークな一面が好きだった。

ケンジは活動拠点を地元札幌に移しながら現在でもツアーで全国を廻るなど活躍を続けているし、歴代ベーシストの上田ケンジ、ジュン・グレイ、ドラムのシンイチロウもロックの世界で活躍中だが、オリジナルギタリストの佐野俊樹は大江慎也+ONESや復活したケントリにも参加ていたが、その後どうしているか不明なのが少しだけ寂し

い。


体調を崩しルースターズを離れ地元に戻って療養していた大江慎也が復活したのもこの年。
ただし、ルースターズではなくソロとして。しかもメジャーではなくプロデューサーの柏木省三が設立したインディペンデントレーベルのポートレイト・レコードから。
当時の帯に書かれていた衝撃のソロ・デビューは別な意味で衝撃であった。

ここで聴かれるサウンドはルースターズでいうところのDISとGOOD DREAMSの中間というところか。どこか不安定さも感じつつも、まずは復活そのものが嬉しくて堪らなかった。

このレコードも1987年が明けてすぐの東京旅行の時に買ったはず。



モッズのYUM-YUM GIMME SOME、ARBのROCK OVER JAPAN、ルースターズのPASSENGERと大好きだった三バンドがこの年にリリースしたアルバムはどれもあまり好んで聴くことがなかったアルバムだったのは単なる偶然なのか。



この年一番自分が震えたのは、リザードのモモヨが発表した私小説の蜥蜴の迷宮。 

フィクションの形態をとっているものの、紅蜥蜴結成からリザード解体までが当事者の言葉で赤裸々に語られる。


紅蜥蜴時代のワイドショー席巻事件や、囚われの身からGYMNOPEDIAが制作されるまでの過程を知ることができたことと、この後、リザードとして5年振りのアルバムがリリースされたことは、リザード・アーミーの若き爬虫類には垂涎の出来事であった。



昭和の時代も残すはあと1年とちょっと。

このシリーズももう少しお付き合いを。


今週も最後までありがとうございました♪♪♪