敬愛するロックバンドTHE MODSも洋楽のカバーをちょこちょことリリースしている。

最初に出会ったモッズの洋楽カバーはセカンドシングル”ゴキゲンRADIO”のB面2曲目に収録れている”CHINESE ROCK”。

ジョニー・サンダース、ジェリー・ノーラン、リチャード・ヘル、ディー・ディー・ラモーンという夢のようなメンツで作られたこの曲だが、B面1曲目のカウンターアクションから続くモッズのライブバージョンがめちゃくちゃカッコよくてA面じゃなくB面ばかりを繰り返し聞いていた。

CDシングル”HEY!!TRAVIS”ではカップリング曲として"I FOUGHT THE LAW”を聞くことができる。

これはオリジナルのクリケッツというより、クラッシュがカバーしたもののカバーといった方が正解かも。

このCDシングル、なぜか手放してしまったらしく今となっては聞くことができないがDVD”ライブ帝国”の中の横浜赤レンガ倉庫前ライブで故ジョー・ストラマーに捧げて演奏される場面が見られる。この倉庫前の演奏4曲は苣木教授が特にカッコよすぎです。



マキシシングルの”SPYICY SPUNKY PUNK”3曲目ではフーの名曲”MY GENERATION”がオリジナルより1分ほど短い高速バージョンで聞くことができる。

音の雰囲気は籠っているというのか、なんとなくではあるが60年代の雰囲気を意識して録音されているのかなと。それにしてもドラムがすご過ぎ。


フーときたら次はストーンズ。2008年にリリースされたベストアルバム”SPADE FILE”にSTREET FIGHTING MANが収録されている。

フー、ストーンズあたりの曲をカバーすると絶品な仕上がりになるのは、ブリティッシュロックに傾倒しバンドを始め、博多のアマチュア時代にサンハウスの浦田賢一のハコバン「スマイラー」のボーカリストとして毎晩ディスコでオールドロックンロールやR&Bを演奏し鍛えられていた森山達也だからこそなのか。

2012年7月には東日本大震災へのチャリティとしてルイアームストロングの”WHAT A WONDERFUL WORLD(この素晴らしき世界)"のシングルをツアー会場で発売(500円!!)。

B.B.キングやロッド・スチュワート等、様々なアーティストにカバーされている曲だが、モッズのカバーはもちろん骨太のロックバージョン。
選曲はもちろんのこと、震災から1年を過ぎてもまだ震災への支援を続ける真摯な姿勢に、このバンドについてきたのは間違いではなかったと心の底から思ったのだ。



シングルなんかのカップリングとしてカバーが収められているパターンが多いモッズだが、実は2002年にカバーアルバムをリリースしている。
タイトルはロック中毒を意図した造語の「ROCKAHOLIC」

当時所属していたアンティノスレコードの雲行きが怪しく将来を見据えて、時間・場所・経費をミニマムに抑えるためのノウハウを知るための手段としてあえてインディーズの形態で制作・リリースされた作品だ。(というのは25周年のアニバーサリーに出されたヒストリーブックで知ったのだけど…)
悲しいかな予想はあまりにも早く的中してしまい、アルバムリリース後レコード会社はデビュー時に所属していたエピックSONYに吸収されることに。その際に示された契約条件を飲むことができずバンドは独立を決意。
ということで、メジャー最後の作品が奇しくもインディーズでのリリースとなってしまったといういわくつきのアルバムなのだ。

独立して設立した事務所とレーベル名には、このアルバムタイトルのROCKAHOLICが使われている。

アルバムはシャドウズの”APACHE”で始まる。

オリジナル以上にウエスタンの雰囲気が醸し出されるインストナンバーにアルバムへの期待は一気に爆発する。


続く”I JUST WANT TO MAKE LOVE TO YOU(恋をしようよ)”はウィリー・ディクソン作、マディ・ウォーターズがリリースしたことで知られるブルースの名曲。


3曲目はフーやジョニー・サンダースもカバーしているオーティス・ブラックウェルの”DADDY ROLLIN’STONE”。モッズのカバーはジョニー・サンダースのアレンジに近いものの、やはりモッズが一番の高速バージョン(笑)

4曲目はアメリカの作曲家ミルトン・エーガが1927年に娘のために書いたジャズのスタンダードナンバーの”AIN’T SHE SWEET(いい娘じゃないか)”
今となってはビートルズの曲としての方が有名だろうが、モッズの方は原曲はパワーポップバンドの曲?と思える仕上がり。

5曲目はジャマイカのミュージシャンジャッキーエドワーズの”KEEP ON RUNNING”
オリジナルのレゲェバージョンとは違いどちらかというとモータウン風なサウンドなだけあって、キーコのベースが気持ちよいアレンジになっている。

6曲目はこれも多くのバンド、ミュージシャンにカバーされているボ・ディドリーの”I CAN TELL”。 

ギターの鋭いカッティングはウィルコ・ジョンソンを彷彿させるが、ドクター・フィールグッドのカバーとはまた違ったアレンジで、自分はモッズバージョンの方が気に入っている。

7曲目はちょっと意外なレイ・チャールズの"HELLELUJAH,I LOVE HER SO”。

こんな曲を演ってしまえるのもモッズの懐の深さ。

続く8曲目はニューヨークドールズのバンキッシュなナンバー”TRASH(払い落せ!!)”。

邦題もそうだが、これは日本語で歌えばモッズのオリジナルと言ってもしっくりくる曲だ。

9曲目からの3曲は70’S PUNKの連続弾。

森山達也が歌うクラッシュの”I’M SO BORED WITH U.S.A.(反アメリカ)”、苣木教授が歌うダムドの”STAB YOR BACK”、キーコが歌うラモーンズの”SUZY IS A HEADBANGER(好き好きスージー)”。
モリヤン、キーコはそれぞれがらしい選曲だが、普段50’s、ロカビリー系のナンバーを歌うことが多い苣木教授がダムドのナンバーを歌うミスマッチ加減(意外性ということで)が新鮮だった。

そしてラストナンバーはジョン・レノンの”POWER TO THE PEOPLE”!!

ベースのリフが印象的なアレンジだが、原曲のイメージは全く損なわれてはいない。

「人々に力を!」強烈なメッセージのこの曲をラストナンバーとしたのは彼らなりのメッセージでもあったのかも。


まだまだモッズには洋楽をカバーした曲がたくさんあったはずだが、逆にモッズのカバーアルバムも2枚リリースされているし、コルツを始めモッズをカバーしているバンドも多いので、いずれそちらも紹介できたら。