前回の12インチシングルの続きから、今回もシングルについて。

12インチシングル隆盛の時期もそう長くは続かず、フォーマットはいよいよCDへと移行していくことになる。

当初はアルバムが12㎝、シングルが8㎝とレコードと同様にサイズが違っていて、シングルを聞くときはレコード盤とは逆にCDの外周側にアダプターを取り付けてアルバムと同じ12㎝のサイズにしてCDプレーヤーにセットしなければならなかった。


販売時のジャケットは細長なのだが、開封後はCDがセットされていない側のプラスチックを外してジャケットを半分に折ることで正方形となり半分のサイズにして収納するようになっていた。
ご存じのない方はこちらを↓



この頃のCDシングルが一枚も手元に残っていないのが残念なところなのだが、モッズの”ヘイ!トラヴィス”やブルーハーツの”チェルノブイリ”なんてのを買って聞いて、アダプターはケントリの”BRAVO JOHNNYは今夜もHAPPY”にオマケでついてたものを使っていたという思い出も。

いつしかこの8㎝バージョンのCDシングルも姿を消し、いつの間にかマキシシングルなんてものが登場し出すことになる。


マキシは大きいとか最大とかを意味するので、たくさん曲が入ったシングルというところだうか。実際、マキシシングルと言われるものは3~4曲入ってるし。前回も触れたが、レコード時代の12インチシングルというところだろうが、今はシングルというとほとんどがこのマキシシングルなんじゃないかな。


蛇足だが、マキシシングルは日本だけの呼び名らしい。(じゃあ、外国では?とは聞かないでください・・・)


アイドルグループが特典やバリエーションが違うものをリリースして同じ曲のCDを複数枚買わすなんて商売に使われたのも、マキシシングルじゃなかったっけか。


それと比較すると自分が聴く日本のロックバンドは良心的で、怒髪天はシングルにDVDを付属した初回限定盤を2,000円くらいの安価でよくリリースしている。
セイノワも赤ら月も1ステージ分のライブをノーカットで収録したDVDが付属なんだから、通常のライブDVDより断然お得だ。




モッズは自分たちの事務所ロッカホリックを立ち上げインディーな活動にシフトしてからは、シングルの販売を通信販売とライブ会場の直販体制としている。これって、一般の流通をかまさない分1枚当たりの利益が大きいからなのだろうか?それなら振込とかの多少の煩わしさなんて気にしないで、喜んで身銭をきってやるぜ!と思ってしまうのは単純明快なファン心理ってものだ。


モッズのマキシでのお気に入りは梶浦脱退で3人となってしまったメンバーがリリースした「HELLO」。”HELLO 終わる日まで HELLO 壊れるまで HELLO  そう死ぬまで生きよう”と3人になっても俺たちは前に進むのみとの決意とも受け取れるタイトル曲に痺れる。 

また、ロッカホリック設立後の第一弾としてリリースされた「NO EXCISE!」にライブバージョンで収録されていた、FIGHT OR FLIGHT(ファーストアルバムのタイトルながらこの時まで曲自体はなかった)がスタジオバージョンとして収録されているのも実にファンのツボを押さえているとこ。

そしてなんいっても3人の姿だけのレアなジャケットと、ここでも切り絵スタイルのモノクロシルエットがプリントされたCDが震えるくらいのカッコよさだ。

気になるドラマーは現メンバーの佐々木周がサポートメンバーとして参加している。



一時期はまったパーソンズは2011年、12か月連続で毎月シングルをリリースするという大きなチャレンジを敢行した。

毎月収録されるのは新曲2曲(内1曲はメンバー2名のコラボで生み出される宝石をモチーフにした曲)とマニアな観点から再演奏されるMIXTURE曲の計3曲。

シングルタイトル(曲ではない)は「LIMITED SIGLES 12 ●」とされ、●の部分をCからBまでの12音に毎月変える凝りよう。

また、毎月帯に付いてる応募券を全タイトル分貯めて応募するとプレミアムタイトルが当たるファン泣かせの企画もあり、僕はDVDが送られてきましたよ。

このシングルも通信販売限定だったので毎月1,500円+送料+振込手数料をかけてまで購入するのはコアなファンだけだと思うが、そんなファンにとっては溜まらい企画ではあったが、ジャケット含めどちらかというと女子向けな感じで、自分でもよく全部集めたなと・・・。



こうやって見ていくとマキシシングルはいろいろな趣向があって、バンドにとってもいろんなことをチャレンジするのにうってつけの媒体なのかも。


最後に、マニアックなところでビデオシングルというものが発売されていたのをご存じたろうか。プロモーションビデオを1曲単位1,200円で売っていたのだが、そのコスパの悪さからか全くもって普及せずに静かに消えていった。実際、レコードショップでこれを目にした記憶がないのだが、日本のロックバンドではブルーハーツが何曲か販売していたようで、オークションサイトではまぁまぁな値段で取引されていますな。


シングルもこうやって年代を追って振り返ってみるといろいろあるように、今主流のマキシシングルも近い将来には「そういえばあんなのもあったよね」みたいになってるんだろうな。

それはそれで楽しみでもあるか。