The EDEN、このバンド覚えてる人って一体どれだけいるんだろう??という不安を抱えながらの今回のブログ(笑)
ニッチなところを攻めるのもパンク、ロック好きにはいいかということでご容赦を。

バンドは佐々木英一(Vo)、大矢正浩(G)、田中浩喜(B)、白石一弘(Dr)の4人で1985年に東京で活動を開始したと当時の雑誌には書かれている。
今回紹介するレコード「The EDEN」は1987年5月に太陽レコードからリリースされた4曲入りの12インチシングル。(そういえば、1980年代前半から半ばにかけてはこの12インチシングルって結構リリースされていてたな)

このレコードをリリースした太陽レコードは、サワキカスミ氏が自分のバンド「火の宮」のレコードをリリースするために立ち上げた日の宮音楽出版から改名した自主レーベルで、幻覚マイム、TRASH、恐悪狂人団等のマイナーどころ(と言ってもその方面では名が知れてます)の他、メジャーデビュー前のバクチクやストリートビーツなんかもここからレコードをリリースしていたから知っている方も多いのではないだろうか。
太陽レコードといえばパンク雑誌のDOLLに毎号のように出されれていた広告が、狙ったものかどうかはわからないが決して綺麗とは言えない手書きのもので、インパクトがものすごく大きかったことが思い出される。

肝心のレコードの方だが、ダークな雰囲気のベースが印象的なイントロで始まるA面1曲目の「ORIGINAL GUN」を聴いてすぐにこのバンドのことが気に入った記憶がある。
サウンド的には所謂るビート系と括らているバンドに近く、雑誌DOLLのNEW FACEのコーナーでは「強いて言えばモッズに近い音」と紹介されているのも少し頷けるところではあるが、自分的にはBe Modernのファーストのサウンド、歌詞をダークに(そしてある意味都会的?に)した感じといった方がしっくりくる。結局のところモッズに近いということに変わりはないか…。
ARBのサンジの影響が大きいと思われるベースは自分としてはどストライク。

歌われる内容はORIGINAL GUNの「俺が死んだとこで何も変わらない/他の誰かがまた同じ目に合う」、2曲目STAGEの「ゆうべアパート追い出され/バイトじゃえらい奴ともめた/帰り際に蹴とばしたロッカー/やつれた夢まで少しへこむ」、B面1曲目DARK GREY SHOTの「人ごみの中にもまれてく/幻に怯えながら/ふと見ると両手足は/時間の糸に操られ」、2曲目STAYでは「早く家に帰りつきたいけど/タクシー代も使い果たし/居たくもないこんな所に/いつまでもずっとこのまま」等、どの曲も東京で暮らす者の苦悩みたいなものが中心となっているが、当時ド田舎で暮らしていた自分にはあまり響いてくるものではなかったのか、この歌詞にやられた!的なものがないのが少し残念。

いずれにしても太陽レコードがバクチクの次にプッシュしようとしていただけあり、ビートが効いた少しダークなそのサウンドとジャケットで見られる4人の容姿から、これはメジャーで勝負できるバンドだなと感じたし、雑誌のレビューでも「いつメジャーに行ってもおかしくない硬派バンド」、「売り出し方によってはB.S.PASS、PATI PATI(懐かしい!!)の表紙になるのも・・・」と書かれていたくらい魅力的なバンドであったのだ。

しかし、その後新たなレコードのリリースの噂もなく、いつしかバンドの情報も途絶えてしまい僕のメジャーデビュー予想は大きくはずれることになった。
このレコードと一緒にレビューされていたリストの中にはバクチク、ブルーハーツ、ポゴ、ニューエストモデル、パーソンズ、ゴーバンズ、筋肉少女帯、ニューロティカ等、その後メジャーデビューを飾るそうそうたるバンドが並んでいたことからも彼らが活動を続けていたらと思わずにいられないところなのだが、一体彼らに何があってバンドはどうなったのか全くもってわからない次第。
まぁ、メジャーデビューできなかったことやバンドのその後がどうであれ、そんなこととは関係なくこのレコードがお気に入りの1枚であることに変わりはなく、ビート系のバンドが好きな方には断然お勧めの1枚である。

そういえばこのレコードがリリースされた頃、僕は会社を辞めて東京へ出ようと決意し、実家に帰って親にもそのことを伝えたんだった。

あのまま会社を辞めて東京に行ってたらこのレコードで歌われていた歌詞にも共感できるくらいの苦悩が自分にも訪れたのだろうかと、ふと頭の中をよぎった春の昼下がりであった。
その後ある事が起こり東京行きを断念せざるを得なくなったことは今となっては懐かしい笑い話として許してもらえるだろうか。

一緒に行けなくなったにも関わらず今も変わらぬ付き合いを続けてくれている友人には感謝しかないのだが。