GWに突入したし昭和の日ということもあり、少し気分を変えていつもとは違った昭和の思い出でも。
このブログを始めてから、いったい自分はいつ頃から音楽を聴き始めたんだろうと思うことがしばしば。
小学低学年の頃、テレビの歌番組は確かによく見てはいたものの、我が家の普段の生活の中に音楽が流れるようなことはなかった。それが一変したのは、ある日突然我が家にステレオがやって来た日からだというのは間違いのない事実。
その日がいつだったのか、なぜ父と母がステレオを買おうと決めたのかという記憶は全くないところが残念ではあるのだが、その後、我が家に流れていた音楽、自分が初めて買った(買ってもらったが正しいか)レコードから推察すると、僕が小学5年生だった1975年に我が家にステレオがやって来て、そこから僕の普段の暮らしの中に音楽が入り込んできたのだと思われる。
高さ70~80㎝、幅100㎝以上はあったと思われるそいつは、レコードプレーヤーとラジオチューナー内蔵アンプ、その下にレコード収納ラック、両脇に大型のスピーカーが並んだ一体型のシステムステレオと呼ばれたタイプのもので、蓄音機の前で耳を傾ける犬Nipperのロゴで有名なビクター製だったはず。
そんな今考えるとかなり大きめのステレオが、3つ上の兄と共同の子供部屋だったわずか4畳半の和室の端に、ある日突然ドカンと置かれたのだから、もしかすると音楽に目覚めた兄が両親にせがんで買ってもらったというのもありえるところだ。
ステレオが鎮座されてからの毎週日曜の朝は「ヤングヒット10」というローカルのラジオ番組をこのステレオで聴くのを楽しみにしていた記憶がある。このラジオ番組の流れで、まだ北海道ローカルでしか知られていなかった松山千春なんかの曲も聞くようになったんじゃないかなぁ。ただ、当然のことながらせっかくのステレオをラジオを聞くためにだけ使っていたわけではなく、ステレオとともに何かしらのレコードは買われて聞いていたはずなのだが、悲しいことにその我が家初のレコードが何だったのか全くもって思い出せないのが悔しいところではある。
で、自分が初めて買った(買ってもらった)レコードは何か?となるのだが、自分の記憶が正しければ、ずうとるびの「ファーストライブ」というLPのはず。ずうとるびというと、今も続く笑点という番組のちびっこ大喜利というコーナーで、その笑点で今も座布団運びを続ける山田隆夫(当時16歳くらい?)が座布団10枚を獲得したご褒美としてレコードデビューさせてもらったバンドだというのは有名な話。
当時、このずうとるびの曲が大ヒットしてたり、歌番組レッツゴーヤングの司会なんかやってたことからこのLPを買ったのだと思うのだが、なぜに小5のガキんちょが人生初レコードとしてライブ盤なんてものを選んだのか自分のことではあるが謎の行動だ。
ビートルズをひっくり返してずうとるびというバンド名にしたというだけあり、この山田隆夫は当時からギターもそれなりに弾けて、作詞作曲もかなりこなしていた音楽好きだったようである。実際、このライブ盤に収められた曲の半数以上は彼の作詞作曲のもので、また、カバー曲もデビッド・ボウイのサフラゲットシティなど通なところを攻めている。また、レコード会社も泉谷しげる、古井戸なんかが所属していたあのエレックレコードだったということからも、かなり本気でバンド活動してたんじゃないかなぁ。まぁ、ずうとるびはこの1枚を買ったきりで、その後は先の松山千春なんかのフォークソングからベイシティローラーズへ、そしてチャー、原田真二、ツイストのロック御三家へと徐々にロックへの道を辿ることになるのだが。
僕以外の家族では、母の趣味で布施明、ヴァン・マッコイのベスト盤の二枚がよく流れていた。布施明はまだわかるとして、音楽なんか聞くようなタイプではなかった母が、大ヒットしてたとはいえなぜにソウル・ディスコミュージックのヴァン・マッコイのレコードなんて買ったのか今となってはその理由を聞くこともできない。
また、同じ部屋で過ごしていた兄はオールディーズ満載の六本木ケントスの実況録音盤(!!)をよく聞いていたが、その後高校に入った以降は柳ジョージ、オフコース等と、僕がパンク方面に傾いていったのとは真逆な音楽遍歴を辿っていた。
ちなみに父が音楽を聞く姿は生涯一度も見たことがなかったな。
時は流れ、父の退職に伴い長年住んでいた社宅を離れる時になって母が独断でこの思い出のシステムステレオもレコードも全部処分したことは後になって知らされたのだが、兄は自分のレコードを断りなく処分されたことがよほど腹に据えかねていたようでかなり後になってから僕にそのことをこぼしていた。僕も高校の頃バイトで貯めたお金でやっとのこと購入してこのシステムステレオに繋いでいたカセットデッキを一緒に処分されたのだが、すでに独立もしてたのでさほど気にもしなかったな。
一昨年20数年ぶりにレコードプレーヤーを購入し再びレコードを聴ける環境となったことから、一旦手放したレコードでCD化されていないものなんかをコツコツと集め始めたのだが、あの当時の4畳半に置かれたステレオでそれぞれが聴いていたレコードを中古レコード店で見つけてしまうたび購入してしまうのはやはり懐かしさのあまり・・・というところだろうか。さすがに布施明はそうそう聴くことはないが、ケントス、ヴァン・マッコイはかなりの頻度で今もターンテーブルに載せられている。
あの時の兄も母もまぁまぁいいセンスしてたじゃないか、と想いながら・・・。