今日は彼氏が会社の歓迎会で飲みに出ていた。私は大学四年生でほとんどの講義を
取り終えているために、暇な火曜日を過ごしていた。
何度も電話をかけてくる彼氏。最後の電話の時点で、「充電がもうないんだよね~」
などとのんきに話していた。まあでも終電には間に合ったようだし、大丈夫だろう。
そう思っていたが、再度1時前に電話が。「すごくトイレに行きたくなって降りたから、
終電逃してしまった。」……まじか。
しかも、自宅からタクシーで5千円はくだらないであろう距離である。
彼は金欠を気にしているので、少し気の毒ではある。
実際、自分自身も大阪で終電を逃しタクシーで帰ったことがある。
あのような過ちはできればもうおかしたくないものである。
彼は、私のリクエストであるのど飴を買うためにコンビニに寄ってくれた。
その後、悲痛なLINEが届いた。
「タクシーを配車してください。本当にお願いします」
その切羽詰まったメッセージを見て、私は彼のスマホの充電が今にも切れそうなのだと察した。
これはぐずぐずしていられないと思い、配車アプリでタクシーを手配した。
だが、配車したよという私のメッセージは彼の目に届くことはなかった。
そう、充電切れである。予約名が私である手前、運転手さんはまさか彼が依頼人だとは
気づけないだろう。
数分後、予想通り運転手さんから電話が来た。
やはり私の彼氏がタクシーに対し手を挙げているのは見たようだが、予約名が女性だった
こともあり、スルーしてしまったらしい。
「もう一度探してみます。」その言葉をきいて安心したのもつかの間、
アプリの仕様上、タクシー到着から5分経過で自動キャンセルになってしまった。
あの後、運転手さんは変わらず彼を探してくれただろうか。
果たして今、彼は私の配車したタクシーに乗れているのだろうか。
連絡がとれず、もちろんのこと位置情報も取得できずでいる。
非常にもどかしく、不安になる。もしも配車できていなかったら、
彼は今頃この夜更けに一人ぽつんと立ち続けていることになる。
配車して30分。これで帰ってこなければ、再度配車しなかった私の重大ミスである。
彼が帰ってくるまでその真偽はわからない。連絡が取れないことがこんなにも
不安が募るものだということは思わなかった。
スマホが当たり前の今、充電切れは安否をも揺るがすものとなってしまったのかもしれない。
今はただ、彼の帰りを待つだけである。