媚薬の効果とは女性の性欲発生に対して一定の催淫効果があることのブログ -3ページ目

女黒魔術師マギ、特製の媚薬以て、クロートー聖騎士伯の八男ユイット卿を骨抜きにしげに恐ろしき魔の薬。されど媚薬製法の秘鑰を叙述せし『マギの覚え書き』は、内乱に際し禁断書架より持ち去られ、行方杳として知れず。
たまたま立ち寄った古書店で目についた、綴じられてすらいない古びた羊皮紙の束。その無題の古文書を発見した時に感じたときめきは、初恋、それも一目惚れの感覚に近いものがあった。これは散佚したと言い伝えられている『マギの覚え書き』だわ。私は確信していた。
店主は古代外国語が読めない普通の人なのだろう。黒魔術の知識も無いのだろう。この稀覯書物の価値を知らぬらしく、値段は格安だった。興奮を隠して購入し、早速詳しい解読と、実際の媚薬製造のため必要物資調達に取りかかった。
童話などで、悪い魔女が大きな釜に怪しい材料を入れて煮込んでいる場面が登場する。印象としては似てはいるが、媚薬製造は大雑把ではない。材料を配合する順番、分量、火加減、不要副生成物の除去などを、覚え書きは細かく指示していた。大鍋の一つで子牛の骨を煮込みながら、私は材料収集に東奔西走した。
神の子の血の象徴とされる葡萄酒。鬱金。堕胎薬としても使われるにくずく。馬芹の種子。雄と交わっていない若い雌鶏の骨付き肉。コリアンダー。茴香。刺激臭のする百合科植物の根。木星に関わる霊を召喚する儀式で燃やされる香辛料サフラン。パプリカ。羊の乳酪。薄紫色の可愛い花の咲く植物の、弱い毒を含むいびつで不細工な茎。姫をたらし込む惚れ薬の材料となったことからその名が冠されたという姫茴香。刀の錆止めの材料ともなる丁字。ニンジン。黒魔術的な意味があるわけではなさそうだが、味を調える目的らしい胡椒。入手は困難を極め、費用も嵩んだが、なんとか揃えた。あとは指示通りに作り、相手に服用させるだけだ。
完成した媚薬は、主にサフランによるものだろうが、暗い黄色だった。液体とも固体ともつかぬドロドロで、なんとも表現し難い臭気を放っている。しかしそれは、人間の根本的欲望を刺激し掻き乱す効果はありそうだった。「つ、作り過ぎちゃったから、おすそわけしてあげるだけなんだからねっ。別に、唯人のためにわざわざ作った訳じゃないからね。勘違いしないでよね?」
しつこいくらいに念を押してから、白米の上に載せて媚薬を彼に服用させた。「美味い! 真希ってタダの変なオカルトマニアじゃなかったんだな。料理も得意なんて、見直したよ。最高だよ、このチキンカレー」やっぱり手料理は、男を落とす最大の媚薬だわ。

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