①滑液包と滑液包炎
膝関節周囲には、いくつかの
滑液包があり、運動に伴う骨と
皮膚間の摩擦を減らす役割があ
る。滑液包は内部に少量の滑液
を含んでいるが、外傷や過使用
により炎症を起こし、内部の滑
液が増加することがある。無痛で機能障害がないのであれば放置してよい。
②関節包の水腫
関節包内膜にある滑膜からも滑液は分泌され、関節内部の潤滑油として、あるいは関節へ
の栄養として機能し、使用後の滑液は再び関節滑膜から吸収される。いわゆる「膝に水が溜
まっている」というのは、膝関節包の滑液量増多状態をいう。
③滑液包と関節包の交通
膝窩部の滑液包(=後膝窩嚢)は、7 ~ 50 %の者で関節包と細い通路を介して連絡して
いるので、膝窩の滑液包に炎症が生ずると、関節液が関節腔から一方通行で滑液包に流れ込
んで、膝窩部に袋状に突出した水腫ができる。これをベーカー嚢腫とよぶ。
2)症状
膝窩に卵の大きさ位で、触るとプヨプヨした水腫がみられる。膝を曲げる際に膝裏の圧迫感
や不快感を生じ、正座や和式トイレで緊張感がでる。痛みはあまりない。
3)整形での治療
①穿刺して滑液(やや粘性のある透明黄色液体)を抜き、長時間作用型ステロイド薬
を注射して滑液の産生を抑える。再発することも多く、数日~数週間で元の状態に
戻りやすい。6時間程度で元に戻る例もある。
②局所を冷却(10~30分)、免負荷目的に松葉杖の使用。
③痛みが強いものには、外科手術で滑液包を切除することもある。ただし血管や神経が密
で解剖学的に難しく、実施頻度は低い。
中野栄煥
