図書館で本を借りて

通勤中に読んでいます

 

6月に良かった本

 

金原ひとみさん

「アタラクシア」

 

 

金原さんは15年前の芥川賞受賞作が

暴力っぽい内容だったのが怖くて

それ以降、読んだことがなかったのですが

こちら、傑作でした

 

章ごとに視点が切り替わる方式で

いろいろな男女が出てきます

 

望んで結婚したのに

不幸にもつれ絡まっている夫婦

そしてその周囲の人々

 

それぞれの章で

差し迫った状況を

追い詰めるように書き込んでいて

読んでて息苦しくなるほど

 

浮気、DV、老親、レス等

ありふれた問題なのに

際立って鮮やかに書けるのは

才能なんでしょうね

 

性格が全然違う人々の一人称や

二人で言い争ってるときの

ものの考え方の違いとかも

どうして一人で書けるのか不思議です

 

ラスト、「えっ」て事件が起きて

(本筋とはあまり関係ないのですが)

二人の人物がつながるのが

やられた、という感じで面白かったのと

 

ゆくゆく

もうひとりふたり

(いや、もしくは一人残らず・・・)

死人が出そうな気配を残しながら

何ひとつ解決しないで終わっていくのが

不気味でした

 

全然馴染めないのに

気になって何度も読み返す

胸騒ぎが収まらない本です

 

 

 

あとこちら

どの作家さんを掘ろうか悩んでるとき

アンソロジーを借りてみるんですが

良かったのが森絵都さん

 

 

ヨハネスブルグのマフィア

 

世界を飛び回るビジネスマンと

アラフォーのOLが疲弊する恋をし、

10年後再会するお話

 

女性作家アンソロジーは甘々で

胸やけしてくることがあるんですが

どこかハードボイルドな筆致の森さん

この作品もだめな女が

悪い男に振り回される話なのに

冷めた視点があってさっぱり読めます

(恋に落ちた決め手が

「世界を飛び回る」ビジネスマンてことより

「エビイカタコ」なんて

まぬけな鮨のオーダーに拍子抜けして

「逃げそびれた」ことだったとか)

 

「人間は恋の始点を

自分では選ぶことはできない。

同時に、終点も選ぶことはできない。」とか

「男の欠陥に

目をつぶれない年齢に達して初めて、

欠陥ごと男を愛する醍醐味を知った。」とか

気の利いた映画の字幕みたいな名言が多数

姐さん!勉強になります!

とか頭を垂れつつ読みました

 

金原さんと森さん、

しばらく掘ってみたいです