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出版権拡張の法改正に潜む危険性

最近法改正が現実味を帯びてきた出版権の拡張について解説しつつ、個人的な見解を述べていきます。

前々回、あなたが小説,漫画,実用書といった作品を

自分で考えて創り出す(創作する)、

つまりオジリナルな文章や絵を書(描)くと

それだけで、あなたにはその文章や絵についての

著作権が発生することを説明しました。


ただしあなたの小説が、他の誰の目にも止まらなければ

発生した著作権にはほとんど価値がありません。


あなたが創作した作品がそれを読みたい読者まで届き、

実際にそれを読んだ読者が、なにかしら心を動かされたり

新たな知見を得たりする…


…ということがあってこそ、あなたはその作品を

創って良かったと感じることでしょう。


(日記のように人に見せないたぐいの文章や絵では

別でしょうが。)


そこで、あなたの作品の価値を十分に発揮するには

それを読みたいと思っている読者に届ける作業が必要になります。


あなたの小説などを、書籍や雑誌などの形にして

読者のもとに届ける作業が出版ということになります。


つまり出版は作者と、それを読みたい読者とを

媒介する(結びつける)行為です。


辞書的にいえば、出版とは

『文書・図画を印刷してこれを販売・頒布すること』

です。(「広辞苑第六版」より)


そして、その出版をする者が出版であり、

出版を業務として専門に行う会社が出版です。


著作権法的には出版を行う者が

自分で「出版」という行為を引き受ける意志があり、

なおかつ出版する能力を持ってさえすればよく、

会社であるかどうかは関係ありません。


このため、著作権法で使われる漢字としては

『出版社』ではなく、『出版』と規定されています。