"オレンジ色の言葉はキーの秘密を知っている"

オレンジ色の言葉はキーの秘密を知っている
そこはただの場所だった
考えてる振りをして頑張ってる振りをして用もなく流れついた場所だった
意味もなく言葉もなく下水道の淀みのような場所だった
誰もが辻褄をあわせようとしていた
辻褄さえあえば安心だった
自分を隠すような言葉ばかり上手くなった
かわりに自分を表現する言葉は下手になった
挫折は知らない
大きな悲しみもない
かわりに大きな喜びも知らない
在るということはなかった
あまりにもなさすぎて
無いということさえ無かった
考えない葦もいる
だけど感じない葦はいない
壊れてしまったレコードのように退屈だけが繰り返していた
目玉は景色を写真のように食べてしまったし、口はルールだけを鵜呑みにしていた
ただ唄だけが聞こえていて
それは鍵のようにガラスを引っ掻いた
キーキーキーキー
鍵穴が見つからない
見つかったのはまるで的はずれの答えと不格好な踊りで笑う子どもが一人
それはただの女の子
ボサボサの頭と大きな腕時計
女の子はオレンジ色の言葉を使って話しをした
女の子は人間が好きで、プロフェッショナル、そして鍵穴の名人だった
名人はガラスの内側に鍵穴を見付けた。名人だけがガラスの内側へ入ることができた。そして言った。
ガラスに見えていたのは実は鏡であなたは最初から外にいたんだと。
そして僕は肌色の言葉を覚えた
5年。
今やっと3つくらいの新しい言葉を覚えたところ
"法律の味方をしたいと思うだろう?"
「名前は?」
「職業は?」
「自分を証明できる物は?」
「過去に犯罪歴はあるか?」
「こういった交通違反以外で犯罪歴は?」
「話を聞きなさい」
「一緒にいたのは誰だ?」
「カバンの中を見せろ」
「もっとよく見せなさい」
「そんなことはない」
「そんなことはできない」
「そんな義務は無い」
「法律で決まっていることだ」
「言うことを聞かなければ裁判だ」
「言うことを聞きなさい」
「君は法律の下で暮らしている」
「法律に従って生きるべきだ」
「私たちに従って生きるべきだ」
人を卑下するその眼には
法律だけしか映らない
鏡を見つめるその眼には
制服だけしか映らない
見る眼が無い
見る気もない
最初から
見る能力も無い
人を黙らせるその口は
法律だけしか語れない
膨れ上がったその耳は
求めることしか聞こえない
聞こえない
聞く気がない
弱者の声が
届かない
"You think you'd like to play ball with the law?"
「法律の味方をしたいと思うだろう?」




