今日はたこつぼ心筋症についてのお話です。
聞いたことがある方も、聞いたことがない方もいるかもしれません。
何年か病院に勤務していれば、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
たこつぼ心筋症は約20年前に日本の佐藤先生がネーミングしたそうです。
①急性心筋梗塞に類似した発症経過で
②左室心尖部を中心とした領域の収縮異常を呈するが
③その責任病変として妥当な冠動脈病変を認めず
④短期間で正常化してしまう病態
として報告されたのが最初だそうです。
左室収縮末期像が“たこつぼ”に似ていることからこのネーミングがされています。
今では世界中で認知されている、日本発症の病気なんですね。
まず、たこつぼってどんなだか分かりますか?笑
文字だけではうまく表現できないですねぇ、分からない方はネットで検索してみてください。
では、一体どのような特徴があるものなのでしょうか。
まず、高齢女性に多いこと。
過去の報告でも103例中89例が女性という、圧倒的に女性に多い疾患のようです。
次に、臨床症状としては
突然の肉体的、感情的ストレスによって発症することの多い胸部症状
があげられています。
また、心電図では急性心筋梗塞様の変化(ST上昇、T波陰転)がみられ、心筋傷害マーカーの上昇も認めることから急性心筋梗塞との鑑別診断が必要とされています。
その発症メカニズムに関してはまだ諸説あり、はっきりとした見解には至っていないようです。
説としては
1.多枝冠動脈攣縮説
1枝の冠動脈攣縮に比べ、持続時間も長いため特徴的なたこつぼ型の心筋収縮異常を呈するのではないかという説。
しかし、急性期に冠動脈造影を行っても攣縮を伴っていないケースもあり、否定的とされています。
2.微小循環障害説
急性期には冠動脈の血流低下を認めることがすでに報告されているそうです。
そのため、微小循環障害があることは確認できていますが、それが原因なのか二次的なものなのかは不明なようです。
3.カテコラミン心筋障害説
肉体的、感情的ストレスが発症に関与していることからカテコラミンの関与が示唆されています。
たこつぼ型心筋症の方が、急性心筋梗塞より発症直後は2-3倍カテコラミンが上昇していることが示されています。
しかし、それだけでは十分な説明は出来ず、カテコラミンだけの影響ではなさそうです。
これら1~3が原因であるとすると、1にはCa拮抗薬や硝酸薬、2には血管拡張薬、3にはβ遮断薬が有効であると考えられるが、後方視的な調査ではたこつぼ型心筋症を発症した患者さんの中にはこれらの薬を内服していた者もおり、上記の予想を否定する結果であると結論付けられています。
たこつぼ型心筋症の急性期合併症としては
①ポンプ失調
急速かつ広範囲の心筋、特に心尖部の収縮異常によりポンプ失調をきたします。
②左室心早尖部血栓形成
心尖部の血液がうっ血し、血栓を形成することがあります。
たこつぼ型心筋症は、通常短期間で収縮異常が改善するため、一旦血栓を形成すると、壁運動異常の改善に伴って血栓が遊離する可能性が高いです。
従って、血栓予防が重要であり、たこつぼ型心筋症と診断された時点でヘパリン投与を行うという論文もありました。
③左室流出路閉塞
急性期には心尖部の収縮不全に伴い、心基部の過収縮を起こし左室流出路に圧較差が生じることがあります。
とある報告では15%にみられるとされています。
この場合、強心薬は圧較差を増大するため逆効果であり、中止されます。
④不整脈
trsade de pointes などの致死性不整脈には特に注意が必要です。
本日は比較的珍しいたこつぼ心筋症についてのお話でした。
私も始めて耳にしたときはかわいい名前だなって思いましたが、結構危ない疾患でした。