https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2013/0/2013_0221/_pdf
杉澤 裕之ら
【方法】
大腿骨近位部骨折を受傷,手術,理学療法,退院前評価を実施して自宅に 退院した38名(男性7名,女性31名,年齢81.5±5.9歳)
①術後6ヵ月以上が経過した時点で再転倒の”有無”と”転倒場所”について調査
・【再転倒している群】【再転倒していない群】にわけた
2群間で退院前評価項目を用いて比較検討した
〇退院前評価項目〇
・受傷時年齢
・入院日数
・受傷後経過日数
・骨折型
・受傷前および退院前歩行状態,
・既往歴
・CS30
・Functional Reach Test(以下,FRT)
・Timed Up and Go test(以下,TUG)
・両側片脚立位保持時間
・10m 歩行
・改定長谷川式簡易知能スケール(以下,HDSR)
・機能的自立度評価法(functionalindependencemeasure,以下FIM)の 運動項目と認知項目
とした。
【結果】
・調査時非転倒者は18名,再転倒者は20名で再転倒率は52.6%であった。
・転倒場所は,屋内17名,屋外3名と屋内での転倒が 多かった。
・2群間の比較検討では
退院前歩行状態
CS30
TUG
術側片脚立位
FRT
10m歩行
FIM運動 項目(共にp<0.05)において有意差を認めた。
・再転倒に対するロジスティック回帰分析では,CS30のみ有意な予測因子とし て抽出された
【考察】
近位部骨折患者を対象とした本研 究においてもCS30は再転倒予測テストとして有効である可能性が示唆された
・再転倒群では,身体機能評価の各項目で有意な低下が認められ再転倒には様々な要因が関係していると考えられた。
・そのなかで もCS30が独立した予測因子として抽出された。
・CS30は先行研究により近位部骨折患者の下肢筋力や歩行自立度と高い相関 を示すとの報告や,地域在住高齢者における転倒予測テストとしても有用と報告されている。
・この結果を踏まえ入院中の理学療法において は,下肢筋力トレーニングやCS30の評価方法である立ち上がり,着座動作に着目した積極的な運動療法が重要
・退院前時点でCS30が5回以下の症例では再転倒のリスクが高く,自宅環境の調整や社会資源の利用,自主トレー ニングの継続,定期的な再評価など自宅退院後の再転倒予防対策が重要になると考えられた。
近位部骨折患者に対し退院後の再転倒を入院中から予測し,適切な対策をとるうえで,CS30は重要な指標として活用出来る可 能性を示唆し,臨床場面での再転倒リスクの判断基準として意義があると考える。