①腰椎の特徴と骨構造について
②腰椎の運動とカップリングモーションについて
③神経学検査と整形外科検査
①腰椎の特徴と骨構造について
初めに腰椎の特徴についてです。
・下肢の主な神経支配髄節であること
・椎体関節の形態上、側屈・回旋の動きが少ない事
・生殖器系のホルモン中枢の役割を果たすこと
腰椎の可動性
屈曲:50°
伸展:35°
側屈:20°
回旋:5°
実は回旋の動きはこんなに少ないんですね。
こう考えると回旋の動きで痛みを伴ったり、可動性が低下している場合は、回旋の動きが有意な胸椎に着目すべきとの考えも出来るかなと思っております。腰痛患者を診る際の大きなヒントとなります。
・上下関節突起はわずかに傾いた関節面を持ち、関節面はほぼ垂直で矢状方向を向く
・上関節突起の外側面にある乳頭突起は固有背筋の起始と停止の場を提供する
・第5腰椎椎体の下面は仙骨の上面と平行にはならない。この角度は腰仙角度と呼ばれ、その角度は個体によって様々で、平均16°である
・第1腰椎椎体の上面と仙骨上面の角度で表す方法(L1-S1前弯角度)では、立位時において平均50°となる。また、安静立位時の仙骨上面と水平面との成す角度は、平均50°である
②腰椎の運動とカップリングモーションについて
腰椎の運動について
・体幹の屈曲-伸展、側屈、回旋に伴う腰椎の各運動で起こる骨運動は2種類で、
「回旋(rotation)」と「平進運動 (translation)」がある。
・脊柱の運動はこの2つの運動の組み合わせであり、並進運動によって運動軸の位置は変えられる。
腰椎椎間関節(L1-L4)における運動
1.屈曲‐伸展運動(矢状面での回旋運動)
・体幹の屈曲に伴い矢状面での腹側への回旋と並進運動、わずかな頭側への並進運動が起こる。
・体幹の伸展に伴い矢状面での背側への回旋と並進運動、わずかな頭側への並進運動が起こる。
2.軸回旋運動(水平面での回旋運動)
・体幹の右回旋では、左下関節面は右腹側へ滑り、右下関節面は背側へ滑る。初期回旋相では上位椎骨の左下関節突起面が下位の左上関節突起面と接触するまで続く。
・それ以上の回旋では左上下の関節面同士が接触しているため、同一軸での回旋は不可能である。そこで後期回旋相では、左上関節面の接点付近を中心とした新たな回旋が生じ、右下関節突起面が右上関節面より引き離されるような運動となる。
3.側屈運動(前額面での回旋運動)
・関節面の形状により側屈運動は、前額面上のみの純粋な運動はなく、必ず反対方向への軸回旋と伸展を伴っている。
・下位椎骨(第4、5腰椎)では、伸展よりも回旋要素が強い。上位2椎骨では伸展要素が大きく、回旋は下位ほど大きくはない。
・第3腰椎で最も側屈要素が大きい。
③神経学検査と整形外科検査
神経学検査について
神経病変の臨床所見は障害や病変の局在と重症度という2つの重要な因子による。この2つの因子が神経病変の臨床所見を決定する。症状は無症状から軽い知覚脱失や疼痛などの軽い症状、また、損傷を受けた神経根により支配される部位の完全な機能損失を失う神経損傷まで様々である。それぞれの神経は独自の知覚領域や筋力テスト、伸張や反射を持っており、それらは原因病変の判定に役立つ。
次に整形外科検査について。
①SLRテスト Straight Leg Raising Test
検査方法
患者に仰向けになってもらい、下肢に痛みが出るところ、又は90°まで挙上する。
理論的根拠
・主として坐骨神経と第5腰椎、第1・第2仙骨レベルの神経根を伸展する。股関節屈曲70°~90°の間でこれらの神経は完全に進展し、この間で痛みが起きれば腰椎椎間関節の痛みを疑う。
・35°~70°で椎間板上で坐骨神経根が緊張し、この間で放散痛が始まれば、椎間板病変による坐骨神経根の刺激を疑う。
・0°~35°では硬膜の動きがないので、坐骨神経は比較的ゆっくりしており、この間で痛みが始まれば、硬膜外の病変が疑われる。また、大腿後面に鈍い痛みがあれば、ハムストリングスの過緊張を疑う。
②ケンプテスト Kemp Test
検査方法
患者を座位か立位。片手で上後腸骨棘を固定、もう一方の手で患者の前に手を回す。患者の胸椎を斜め後方に屈曲させる。
理論的根拠
患者が斜め後方に屈曲すると、屈曲側の硬膜嚢が外側に動き、神経根の外側に椎間板病変があると、病変部の下の神経根の緊張が増し、通常は斜めに屈曲した同側の腰部神経根に痛みを起こす。屈曲の反対側では、硬膜嚢は正中線に向かって動く。神経根の内側に椎間板病変があると病変部の上の神経根が緊張が増し、通常は斜めに屈曲した体側の腰部神経根に痛みを起こす。もし患者に局所的な腰部痛が出現した場合、腰部の筋に痙攣または椎間関節炎が疑われる
③大腿神経伸展テスト Femoral Nerve Traction Test
検査方法
検査側を上にして患者を側臥位とする。患者に反対側の股関節・膝関節を軽度屈曲するように指示する。検査肢を持ち膝関節伸展位で股関節を15°伸展させる。次に、大腿神経がさらに伸びるように膝関節を屈曲させる。
理論的根拠
股関節の伸展と膝関節の屈曲は、大腿神経やL2-L4の神経根を伸張させる。大腿前内側の放散痛はL3神経根障害が疑われる。下腿中央まで広がる痛みはL4神経根障害を疑う。この検査は検査側の神経根を圧迫・刺激することで疼痛を誘発することもある。





