体外式人工呼吸器 MIE 後編


診療報酬について、RTXと他呼吸器を併用している場合、保険点数の増加はできないことと、カフアシストは在宅の実の加算であることが普及しない原因となっています。

 急性期でのRTXとカフアシストの使用は、危機的状況からスムーズに脱するための対症療法です。RTXは挿管による人工呼吸器から離脱し離床していく過程の補助手段であり、カフアシストは一時的な痰の喀出困難に対して喀出を補助します。

以上です。
ただ診療報酬等をお含めると普及や位置づけは未画一ですので、その効果などについてあまりよく知られていません。そのため、どの様なもので、どんな時に使うのかをチェックしておく必要はあると思います。
詳細は下記または本文献をご覧ください。同様の内容(前篇)を昨日記載しているので宜しければそちらもご覧ください。

陽・陰圧体外式人工呼吸器とMechanical In-Exsufflatorの使用の有用性
對東俊介ら 難病と在宅ケア Vol.17 No.5 2011.8 P17-19

<考察>
 今回の重症筋無力症患者さんは左横隔神経麻痺による横隔膜の運動不良を有しているため、努力性呼吸が必要でした。気管挿管による人工呼吸器管理に加えて体外式人工呼吸器であるRTXを併用することで、効果的に換気が改善し、血液中の二酸化炭素分圧を低下させることができ、また呼吸補助筋の活動を抑える事が出来ました。実際に患者本人もRTX装着時は呼吸が楽になったといわれています。今回の患者さんでは、換気が促され呼吸補助筋の負担が低下した結果、順調に人工呼吸器から離脱出来たと考えられました。
 また、本患者さんは重症筋無力症という病態に加えクリーゼを合併したため臥床を強いられ廃用症候群が進行していました。このため易疲労であり咳嗽力が低下していました。更にNiPPVによる陽圧換気のため痰を喀出困難であり、カフアシストの使用を開始しました。カフアシストの効果としては、短時間で疲労が少なく効果的に排痰できます。今回の患者さんではRTX併用により呼吸器仕事量を減少させた後にカフアシストを使用することで、痰の喀出に伴う疲労を抑え、効果的に粘稠痰の排出が可能となりました。その結果、呼吸状態が改善し、人工呼吸器からの離脱と肺炎予防が得られたと考えられました。
―最後に―
診療報酬について、人工呼吸器を複数台使用しても保険点数は増加しません(RTX単独使用では人工呼吸器使用時と同じ点数加算をできます)。またカフアシストについて、在宅では排痰補助装置加算(加算条件あり)がありますが、病院入院中は算定できず、病院による購入(定価985,000円)かレンタル(25,000/1ヵ月)となります。この点が病院においてこれらの機器が普及しない原因となっております。
 急性期でのRTXとカフアシストの使用は、危機的状況からスムーズに脱するための対症療法です。RTXは挿管による人工呼吸器から離脱し離床していく過程の補助手段であり、カフアシストは一時的な痰の喀出困難に対して喀出を補助します。病状を回復するのは患者さん自身です。重症筋無力症患者さんがベッドから起きてどの様に呼吸機能を改善し、排痰を行いがながら離床を促し、在宅に戻って安定して生活していくかを患者さんやその家族と一緒に考えることが重要です。
急性期に難病患者が挿管による人工呼吸器管理となった際に、RTXやカフアシストを使用することで容易に人工呼吸器から離脱でき、再び気管挿管となる事の予防が期待できます。特に慢性期でカフアシストを使用している患者さんやそのご家族、かかりつけ医、看護師の片は、急性期病院の医療スタッフに対してカフアシスト使用の提案を積極的に行って頂けたらと思います。またわれわれ急性期医療スタッフとしては、これらの機器の効果を検証・公表し、その必要性や新たな可能性を追求し続けていきたいと思います。

引用:難病と在宅ケア Vol.17 No.5 2011.8 P17-19