すくみ足と高次脳の意外な関係?!

パーキンソン病におけるすくみ足は良く知られていますね。
その、すくみ足は高次脳と意外な関係があるみたいなんです。
高次脳機能障害は昨日に記載したブログを参考にしてください。(主に前頭葉機能障害)

すくみ足の病態は実はまだよくわかってません。パーキンソン病で主として障害を受ける、黒質-線条体系のドパミン系障害で説明することは困難です。
Matsuiらは、すくみ足を認めるパーキンソン病患者において、Brodmannの脳地図における11野の血流量が低下し、情動、動機づけ、学習セット、行動・意思決定が障害されていると報告しています。
また、近年、遂行機能、注意力障害とすくみ足の関連性も指摘されており、すくみ足が前頭葉機能に依存することも報告されています。

筆者のコメント
完全には言い切れないけど、関係はあるのかもしれません。
運動とからめた高次脳を考えられるのは大切なことだと思います。
逆に、すくみ足の治療で高次脳が良くなったりして・・・
(ちなみに外的Cueのexは外側運動前野の血流増大が認められるとされ、Brodmannの脳地図の11野は前頭葉のかなりさきっぽ、程遠いです。)

参考文献:PTジャーナル・第43巻6号・2009年6月 P509-513


この文献を引用にさらにすくみ足について解説します。

パーキンソン病の理学療法最前線 すくみ足 宮本俊郎ら
             PTジャーナル・第43巻6号・2009年6月 P509-513

すくみ足とは?
すくみ足は、歩行能力を有するにもかかわらず、何秒かにわたって歩行ができなくなったり、動き始めるのができなくなったりする状態。パーキンソン病の進行とともに増加し、罹病期間やL-dopaの使用期間との関連が強い。歩行開始時、方向転換時、目的地間近、狭い通路、また誘因なく突然生じる。精神的緊張状態などでも出現しやすい。

どこの障害で起こるか?
すくみ足の病態は完全にわかっておらず、黒質-線条体系のドパミン系障害で説明することは困難です。
無動の病態学的検討からは、淡蒼球内側と黒質網様体部の変性が関係するという報告もあるが定説ではない。Matsuiらは、すくみ足を認める患者において、Brodmannの脳地図における11野の血流が低下し、情動、動機づけ、学習セット、行動・意思決定が障害されていると報告している。一方、Hanakawaらはトレッドミル歩行中において、健常者と比較し右補足運動野、左小脳半球の脳活動の低下、左側頭様、右島、左帯状皮質および小脳虫部の脳活動の上昇が認めたとしており、補足運動野の機能障害の関与を指摘している。Nieuwboerらは、すくみ足が生じる直前のヒラメ筋と前脛骨筋は筋活動の低下、および筋収縮のタイミングが乱れていることを明らかにし、リズム形成障害とすくみ足の関連を示唆している。また近年、遂行機能、注意力障害とすくみ足の関連性を指摘されており、前頭葉機能に依存することも報告されている。

すくみ足の理学療法
種々の薬物療法や外科的療法などが有効であると報告されるが、理学療法はどうか。外的な手掛かり(cue)で克服できることがある(kinesie paradoxale:矛盾性運動・逆説性歩行)。パーキンソン病では内的な手掛かりの処理に関与する補足運動野の障害があり、外的な手掛かりを与えると、視覚情報処理に関与する運動前野が補足運動野を代償することがわかっている。外的な手掛かりとして最も一般的な方法は、聴覚、視覚刺激によるものである。

外的Cueの効果
歩行速度やケイデンス、歩幅や腕振りが一時的に改善することが知られている。Sadawayらの報告では、聴覚刺激を与えた1ヵ月のトレーニングでの歩行速度・歩幅の改善が得られ、一ヵ月間においてもその効果が持続したとしている。筆者らによると方向転換時も外的Cueを利用することはすくみ足を改善すると報告している。また筆者らはシングルケーススタディであるが、固定型歩行器を利用することで足底圧の10%が爪先に移動し、重心の前方への移動で、踵と爪先荷重の円滑な分離が行え歩行動作に移行できたとしている。また固定型歩行器の利用により、安定した歩行が可能となることは、内藤の報告と同じであり臨床上良く見かける現象である。

以上です。
すくみ足をお話しする際は必ず<足>をつけてくださいね。上肢や言語のすくみもありますから。
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聴くだけで歩行能力Upはまた今度ブログにかこうかと思います。
固定型歩行器の利用はBWSTTの面から捉えてもいいような気がします。ぼくもお世話になってます。
ぼくのブログで前に書いたのでURLはっときます。良ければ見てください。
http://sibaburogu.seesaa.net/archives/20110408-1.html