コミュニケーションをいかにとるか
山田明子ら

Abstract
ALS患者は症状の進行に伴い次第にコミュニケーションが困難となっていく。しかしよりよいコミュニケーションを保つことは患者・家族・医療者すべてにとって大変重要であり、意思疎通を円滑にすることにより情緒不安定、意欲低下、周囲とのトラブルなどの解消に役立ち、より積極的な生活を維持することが可能となる。コミュニケーションの方法として筆談、文字盤、意思伝達装置などが挙げられる。患者の症状は日々変化するため、それに応じてコミュニケーションの手段に工夫・変更を加えていく必要がある。そのためには、関連職種の連携、マンパワーの確保、緊急時の対応、コミュニケーション技術の向上などの加地を克服しなくてはならない。

上記にAbstractを記載しました。下記にはこの文献に記載してある<コミュニケーション方法>を記載させていただきます。

1.筆談
2.口文字:<あ>と<か>など同じ母音はわかりにくい
3.はい-いいえの反応:合図を決める。Ex:1回瞬きなら<はい>2回なら<いいえ>
4.要求ボード:多く訴える要求をボードに表し、選択させる<吸引・排尿など>
5.文字盤(指さし・50音走査法・対面式文字盤)
  50音走査法:聞き手が50音表を読み上げ、本人が合図を送ることで1文字づつ特定していく。
6.携帯会話補助装置:音が出る文字盤ともいえる。パソコンより簡便で軽量
7.ナースコール:残存機能を利用してセッティングする。医療メーカーでは様々なcallを開発しているが、個々の患者にあったcallに改造するケースが多く、倫理委員等で改造callについて検討を要する
8.パソコン:スイッチを使用し、ナースコール、文書の作成、単語を入力し意思伝達、インターネット、映像をみる、照明の操作や電動ベッドの操作など環境維持装置としての利用と、様々な利用法がある。しかし、制度上<両上下肢の全廃および言語機能を喪失した者>に適応となる。
9.スピーチカニューレ:人工呼吸器に装着することで発声が可能。球麻痺の進行により使用できず、患者によって使用期間が異なり、すべての患者に適応となるわけではない。
10.生体信号:ハイテクを利用したコミュニケーション手段。脳は・眼電信号、筋電信号などの体外信号を利用して機器を操作する。

引用: MB Med Reha No.113 : 55-60,2009

以上、本文献に記載されている、Abstractとコミュニケーション方法でした。
対面式透明文字盤の配列を工夫したり、透明文字盤と併用して口文字をおこなうことで、円滑な読み取りを行うなど患者様にあったコミュニケーション手段をみつけることが大切です。そのために残存機能と精神状態等をみる必要があります。
最後に、<発声を失った代償手段>ということを認識する必要があります。過去の手段を失った悲しみと、新たな手段を獲得した喜びの上に、現状のコミュニケーション手段があります。それを認識し、愛をもって、患者様と接する、また対応することが我々の使命だと思います。