”潰瘍性大腸炎”と”私の状態”
現役理学療法士&アスレティックトレーナーのYukiです。
潰瘍性大腸炎って聞いたことある?
潰瘍性大腸炎と聞いて、知っている方も多いと思います。潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が生じて、腸壁に潰瘍やポリープを引き起こします。つまりは腸壁が何度も傷つけられていき、出血が起こり、傷がついた部分を治していく過程においてさらに傷がつくということを繰り返していきます。そうして、腸壁に潰瘍つまり大きい傷ができたり、皮膚で例えるとタコのようにポリープができたりしていきます。大腸の炎症部位は直腸(肛門)から結腸(小腸の近く)まで広がっていきます。また、炎症部位は連続的に起こることが多いとされています。つまり、炎症部位から非炎症部位、そして炎症部位のようなスキップしながら広がることはまれなことです。炎症部位の広がりや経過から全大腸炎型、左側大腸炎型、直腸炎型に分類されます。
潰瘍性大腸炎の症状
血便を伴う下痢や下痢のみが頻回に起こり、また腹痛を伴うことが代表的な症状です。また、大腸内での出血が多い場合は貧血を起こしやすく、疲れやすくなることもあります。
症状は再燃と寛解を繰り返します。つまり症状が強い時期と症状がないもしくはほとんどない時期を繰り返しながら経過していきます。
潰瘍性大腸炎の疫学
潰瘍性大腸炎を抱える患者数は166060人(2016年時点)と報告されおり、人口10万人当たり100人となっています。男女比は1:1となっており、性差はありません。発症のピークは男性で20-24歳、女性では25-29歳となっていますが、若年者から高齢者まで幅広く発症します。また、潰瘍性大腸炎を抱えている場合は大腸がんの発症率が高くなることも分かっています。
潰瘍性大腸炎の診断と治療
診断の過程としては腸で起こりうる炎症の疾患(感染性腸炎)などを除外したあと、内視鏡検査や組織の一部を検査して行います。また下痢や血便、腹痛などの特徴的な症状も加味しながら診断を行っていきます。治療方法としては内服による内科的治療が第一選択となります。内科的治療では5-アミノサリチル酸(5-ASA)、副腎皮質ステロイド、免疫調節薬や免疫抑制薬などが重症度や症状などを考慮しながら選択されます。重症度が高くなると血球(免疫細胞の一つ)除去療法や手術に摘出を行うことがあります。
潰瘍性大腸炎の原因
潰瘍性大腸炎の原因は指定難病になっていることからも明らかのように完全には解明されていません。現在は腸壁での過剰な免疫応答が原因という仮説が有力です。つまり、体内の免疫細胞が健康な腸壁を繰り返し攻撃することで炎症を起こすということになります。そのため、自己免疫を調整する薬物が症状の緩和に有効となっていると考えられます。
私の症状とは~振り返ってみて~
私の潰瘍性大腸炎の症状は下痢から始まりました。症状は24歳の時からありました。当時はアメリカに留学中で食文化や水が変わったことによる体調不良くらいかなと考えていました。また、たまに血が混じることがありましたが、痔によるものではないかというくらいの認識で深刻な状態であることは全く考えていませんでした。腹痛はありませんでしたが、当時は急に疲れやすくなっていたことを覚えています。おそらくこれは貧血の症状であったのではないかと思います。
診断当時は下痢に血が混じることが多く、自宅のトイレに血が付着するような状態でありました。また、明らかに疲れやすく、日中にふらふらになることもあるほどでした。
私の現在の状態
現在の症状は時折下痢が出る程度になっています。先日の記事で述べたように治療を開始して2年が経ちますが、完全な寛解期には達していません。昨年は一度出血が激しいことがありました。便ではなく、血の塊が出てきました。その際は内視鏡検査を行い、確認したところ30㎜のポリープが直腸に発見されました。このポリープから出血をしていたようです。
私の治療内容
治療開始当初は5-アミノサリチル酸(5-ASA)のペンタサ、整腸剤のミヤBM、亜鉛製剤のノベルジンを服用していました。亜鉛製剤は潰瘍性大腸炎の標準治療に含まれていないことにお気づきでしょうか?人体において組織の損傷が激しい場合、血中の亜鉛濃度が下がることがあります。それは亜鉛が細胞の再生に必要な物質であるためであり、主治医に依頼して血中の亜鉛の値を検査していただきました。その結果はかなりの亜鉛欠乏症になっており細胞の再生に影響があることが考えられたので、主治医に依頼してノベルジンを処方してもらっています。その後、出血が大きくなったときにステロイド剤を使用したり、ペンタサをリアルダに変更したりしながら内服のみで治療してきました。しかし、最近の検査の結果から炎症が残っており、寛解状態にならないことから点滴による血球除去療法(エンタイビオ)を始めました。これらの効果はこれから明らかになると思います。
私の病状~疫学から~
現在の私の重症度は軽症から中等症と言われています。原発性硬化性胆管炎と同様に発症したと推測される年齢は好発年代に一致している。原発性硬化性胆管炎よりは症状は重くない点は良い点であると考えているが、症状がでると生活に支障がでることもある。
最後に
潰瘍性大腸炎は年々患者数が増加しており、周囲の方々にも抱えている方が多いことでしょう。これらの情報から考察すると潰瘍性大腸炎は判明した時の症状が軽症であれば薬物治療でコントロールすることが可能な疾患とも言える。ここでは述べていないが、私が服用している薬以外にも効果がある薬がたくさんあります。原発性硬化性胆管炎の状態とは違い潰瘍性大腸炎に対しては落ち込むようなことはあまりなかったこと思います。もしくは、原発性硬化性胆管炎の状態が進んでいたことで相対的に考えていたのかもしれないとも思います。
