先回の続きです。

 

先回までの考察で、聖書の黙示録17,18章に登場する「大いなるバビロン」とは宗教的な帝国を指しており、その主要な部分はキリスト教である ということを見分けることが出来ました。

 

聖書に通じた人々の中で、『黙示録の大いなるバビロンとはバチカンのことである』と考えている方は少なくありません。

 

しかし、それで満足していてはなりません。何故なら、「帝国」と呼ばれていることから、この帝国に属している宗教とはどれほどの範囲に及ぶのか、という点を見極める必要があります。

 

もう一度、使徒ヨハネに与えられた幻(黙示録)の17章5節の「裁きの音信」に注目してみましょう。こうあります。

 

 

 

『(その女の)額にはひとつの名が書いてあった。それは秘義であって、

「大いなるバビロン、娼婦たちと地の嫌悪すべきものとの」というものであった。


また彼(イエスが遣わした天使)はわたしに言う、「あなたの見た水、娼婦が座っているところは、もろもろの民と群衆と国民と国語を表わしている。

 

この幻は、20世紀以降の時代に成就する物事を預言しているという点を忘れないようにしましょう。

 

ここで、娼婦は「全人類の上に座っている」わけですから、この宗教的帝国がほぼ全世界の人々を支配していると語っているものと理解できます。

 

とはいえ、ローマカトリックの信者数は、2016年のバチカンの報告によりますと12億7千万人となっています。

 

仮に、プロテスタント、ロシア(東方)正教会などのキリスト教の信者の総数を合わせても約20億人と言われており、多いとはいえ全人口の約30%ほどを占めるに留まります。

 

では、”大いなるバビロン”という一つの名の宗教的帝国が「世界を支配している」と、どういう意味でそう言えるのでしょうか。

 

この宗教的な帝国を象徴する娼婦の額に書かれてある「大いなるバビロン、娼婦たちと地の嫌悪すべきものとの母」という名の説明にヒントがあります。

 

この名から、まず第一に、”大いなるバビロン”と呼ばれるは、「バチカン」をはじめとするキリスト教世界を表していると思われます。(バチカンの背後ではイエズス会が大きな権力を持つと言われています。)

 

事物の体制の終結の時代の初期から、戦争を最も積極的に推し進めてきただけでなく、強大な影響力を持ち、常に自らに最高の栄光を帰してきたのはバチカンであるだけに、『嫌悪すべきものの』と呼ばれるのはふさわしいように思われます。

 

      

 

 

また、バチカンに勝るとも劣らぬ自己顕示欲を露わにするロシア正教会が大きな権力を持つようになったのは、プーチン政権との協定(淫行関係)からであると言われています。

 

 

が、その他に、使徒ヨハネが書き記した幻によると、母親と同じ特色や性向を表すのような娼婦たちが居ることが示されています。

 

では、この「母と娘たち」に共通する創造者エホバ神の目から見て嫌悪すべき特色とは何でしょうか。

 

 

 

 

歴史の記録から見るバビロンの特色

 

  ※資料 jw.org https://wol.jw.org/ja/wol/d/r7/lp-j/102011005

               https://wol.jw.org/ja/wol/d/r7/lp-j/1101989211#h=4

 

   それは、この大娼婦である母と娘たちが「バビロン」と名付けられていることと密接に関係があります。

 

古代バビロンは、二ムロデの都市建設で知られているように、まことの神に反する偽りの教理と崇拝形式の発祥地だからです。

 

 

 

◆「大いなるバビロン」は世界中の宗教を包含すると言える根拠

古代バビロンが宗教色が極めて強い都市であったと言える根拠として、古代の楔形文字の一碑文にはこう書かれています。

 

「バビロンには全部で、主な神々の神殿が53、

マルドゥクの礼拝堂が55、

地の神々のための礼拝堂が300、

天の神々のためのものは600、

女神イシュタルのための祭壇が180、

ネルガル神とアダド神のためのものが180、

およびさまざまの神々のための他の祭壇が12あった。」

ー「歴史としての聖書」1964年,W・ケラー,301ページ,英文の引用文。



アメリカーナ百科事典はこう述べています。「(バビロニアの一部であった)シュメール文明は神官たちによって支配されていた。国家の首位を占めたのは....神々の代表者であった。」

ー1977年版,第3巻,9ページ,英文。



ですから、黙示録の書で言及されている大いなるバビロンは当然、宗教的な性格のものです。それは一つの都市ならびに帝国に似ていますから、一つの宗教だけに限られておらず、まことの神エホバに敵対する宗教すべてを包含します。

 

キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンズー教、仏教、儒教、神道他、世界中の国や地域で定着してきた様々な宗教の教理と崇拝の形式には、共通の特色があるということを多くの学者たちも認めており、バビロニアがその発祥地です。

 

世界中の宗教に見られる共通の特色とは、偶像崇拝三つ組みの神(三位一体)、多くの男神女神、死後も生きる不滅の魂天国、地獄心霊術(死者と話すこと)、悪霊をなだめるための呪文占星術強力な祭司団による支配や儀式などです。

 

いずれも聖書に反する崇拝形式であり、教理は「偽り」であり、まことの神を酷く侮辱するものです。

 

創造者エホバ神の存在、真実の教え、神による人類に救いをもたらす手立てであるキリストが果たす役割、神の地球と人類に対する壮大で麗しい目的には全く触れておらず、むしろ、どれ一つ取っても、真実から注意を逸らせるための悪質な作り話であり、詐欺です。

 

宇宙や地球や生命や人間に関係する情報について、創造者以外に真実を語れる者が他に居ると考えられるでしょうか。創造者を差し置いて、単なる人間がそれを語り、人に教えるとは、僭越極まりないことではないでしょうか。

 

汚れた人間の指導者たちを高めるこの宗教的な帝国が「大いなるバビロン」と呼ばれ、「地の嫌悪すべきものの母と娘の娼婦たち」の集合体として描写されているのは適切であると言えます。

 

 

 

世界を支配する現代の全ての偽りの宗教にもたらされる結末

 

古代バビロンの陥落についての聖書預言の中で際立っているのは、征服者となるペルシャのキュロス王に関するものです。キュロスが権力を握るより2世紀近く前に、エホバ神はその名に言及し、彼がバビロンを征服することを予告しておられました。  

キュロスによる征服について、イザヤは、神の霊感を受けてこう書き記していました。

 

エホバは、その油そそがれた者キュロスにこのように言われた。わたしはその右手を取った。それは、彼の前に諸国の民を従えるため、……彼の前に二枚扉を開いて、門が閉じられないようにするためである」。

 

神はさらに「ユーフラテス川の水が干上がる」ことも予告なさいました。

‐イザヤ 45:1‐3 エレミヤ 50:38

ギリシャの歴史家ヘロドトスとクセノフォンは、この驚くべき預言が成就したことを認めています。彼らの記述によると、キュロスはユーフラテス川の流れを変えて水位を下げました。

 

その結果、キュロスの軍隊は、開け放たれていた門を通ってバビロンに入ることができました。予告どおり、強大なバビロンは「突然」、一夜のうちに倒れたのです。

‐エレミヤ 51:8

 

参照:「聖書の記述が正確であることは「預言」が成就することを示している カナン、アッシリア、バビロン」

  『「古代バビロンの滅び」は、エホバが現代の全ての悪魔崇拝者達を断ち滅ぼすことを保証している』

 

 

 

この出来事から学べる教訓とは何かを知ることは重要です。

 

この出来事は、近い将来、世界規模で起きることが定められている預言の成就のひな型(モデル)となっているからです。

 

 

 

 

バビロンの王ベルシャザルの末路

 

 ※資料 「キュロス大王」 目ざめよ!2013/5

    「ダニエルの預言に注意を払いなさい」(1999年 ものみの塔協会発行)

  第7章より引用

 

西暦前539年10月5日から6日にかけての晩、バビロンの都の宮廷内では大官1千人とその妻やそばめたちを集めた大きな宴が催され、民は浮かれ騒いでいました。

‐ダニエル5:1

 

その時、バビロンの王ベルシャザルはエルサレムの神殿から運び出した器物を持ってこさせ、それを使って酒を酌み交わしていたのです。それは、ベルシャザルがエホバ神を侮辱し、バビロニアの神々を称えるためでした。‐ダニエル5:2-4

 

その頃、都の外では、キュロスの軍隊が、都の外壁を防護していたユーフラテス川の水位を下げるという意表を突く作戦で都の中に侵入し始めます。

 

宮廷内では、メディア‐ペルシャ軍の侵攻に気づかずに居た異教徒の(=偶像の神々を崇拝する)群衆の面前で、エホバ神の忠実な僕であるダニエルは、勇敢にも、強大なバビロンに対する裁きの宣告を王に告げます。

 

そしてダニエルは、次のように糾弾しました。

ダニエル 5:22,23: 「あなた(ベルシャザル)は……天の主(エホバ)に向かって自分を高め……ただの銀や金、銅、鉄、木や石の神々を、見ることも聞くことも知ることもないものを賛美しました。

 

そして、そのみ手にあなたの息があり、あなたのすべての道をその下に置かれる神(エホバ)に栄光を帰しませんでした。


ベルシャザルの祖父で、ベルシャザル以上に有名なバビロニア帝国の初代の王ネブガドネザルは、ダニエルを通してエホバを知るようになり、「自分が王座に就くことをお許しになったのはエホバである」という事実を認めるようになりました。‐ダニエル4章

 

彼は、「至高の神が人間の王国の支配者であり、ご自分の望む者をその上にお立てになる」ということを否応なく学ばされたのです。―ダニエル 5:18‐21。

 

ネブガドネザルの孫であったベルシャザルは、『祖父の時代に起きたそのすべてを知って』いました。それでいて歴史の教訓を学び損ないました。

 

それどころか、ネブカドネザルが犯した不当な誇りの罪をはるかに超え、エホバに対する明らかに不遜な行為に携わりました。

 

ダニエルはこの王の罪を露わにし、さらには、大胆にもこの異教徒の集団の前で、偽りの神々は「見ることも聞くことも知ることもない」、つまり無力であるとベルシャザルに告げます。

 

神の勇敢な預言者は言葉を加え、エホバはそれら無用な神々とは対照的に、「そのみ手にあなたの息があ(る)神である」、と述べています。

 

今日でも、人々は命のない物を神々とし、お金や経歴や名声、さらには快楽をさえ偶像視します。とはいえ、そのうちのどれも、命を与えることはできません。

 

わたしたちが存在していること自体、ひとえに偉大な創造者エホバの恵みによっています。また、わたしたちが吸う一息一息も、ひとえにエホバに依存しているのです。

 

ダニエルから、この重要な事実を告げられたまさしくその夜に、キュロスの軍隊が闘うことなく入城し、バビロンの王ベルシャザルはその場で殺害され、強大なバビロンはたったの一夜にして陥落したのです。

 

アメリカーナ百科事典はこう述べています。

 

「その都市(バビロン)は、西暦前539年にキュロス大王の配下のペルシャ人に攻略された。その後に、ギリシャのアレクサンドロス大王はバビロンを同大王の帝国東部の首都にすることを計画したが、大王の死後、バビロンは次第にその重要性を失った」。(1956年版,第3巻,7ページ,英文)

 

今日、この都市は、聖書のイザヤ13章19,20節で予告された通りの「人の住まない」廃虚と化しています。

 

 

 

 

 

”大いなるバビロン”、偽りの宗教の世界帝国に間もなく訪れる結末も、これと同じことになるのです。

 

    

 

共通の特色を持つそれらの宗教の教祖は誰か?

 

聖書では、悪魔サタンは「この事物の体制の神」と呼ばれています。

「この事物の体制」とは、悪魔を頂点とする現代の人間による支配システムを指します。

 

この事物の体制の神(悪魔)の目的とは何か、コリント第二 4章4節にはこうあります。

 

その人たちの間にあって、この事物の体制の神が不信者の思いをくらまし、神の像であるキリストについての栄光ある良いたよりの光明が輝きわたらないようにしているのです。」

 

ここで「神」と呼ばれているのがサタンであることは、この神が『不信者の思いをくらましている』と述べている言葉にはっきりと示されています。

 

黙示録12章9節では、サタンは「人の住む全地を惑わしている」と描写されているからです。

 

全地の人々を惑わすその目的は、「キリストについての栄光ある良いたより」、つまり「キリストを王とする神の王国支配が来る」という救いの良いたよりに厚いベールを被せ、

 

人々の『目』と『思い』から、その真実の希望をかき消すことです。

 

悪魔の重要な目的に適うために、宗教は、人類に対して、最も強力な影響力を及ぼしてきたと、読者の皆さんもそう結論なさるに違いありません。

 

キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、ヒンズー教、仏教、儒教、神道、シーク教、ジャイナ教、モルモン教、その他の新興宗教などは、

 

創造者エホバ神のお名前や、創造者のご意思、創造者が遣わしたキリストについての良いたよりの重要な意味を、人々が知ることが出来るように助けてきたでしょうか?

 

そうとは言えないどころか、まことの神を意味不明なものにし、自分に栄光を帰すために神と聖書の権威を利用し、教理を醜く歪曲し、神とキリストを甚だしく愚弄してきたと言わざるを得ません。

 

 

  

 

 

 

ですから、人々が偶像の神々に寄せる恭しい崇敬の念は、実際には、「悪霊に」向けられているのであり、「神に」向けられているのではありません。

 

コリント第一 10章20節で、パウロがこのように警告した通りです。

 

諸国民が犠牲としてささげるものは、悪霊に犠牲としてささげるのであって、神に[ささげるの]ではない、と言うのです。それでわたしは、あなた方が悪霊と分け合う者となることを望まないのです。』

 

偶像の神を崇拝する人は、まことの神を否認しているので、自覚がないとはいえ、エホバの主要な敵対者サタンとその悪霊の益のために仕えていることになります。

 

黙示録18:4~8, 17:16,17で、神は、偽りの宗教の世界帝国に及ぶ致命的な災厄を予告しており、それゆえに、人々に、そこから離れるように呼び掛けておられます。

 

わたし(ヨハネ)は天から出る別の声がこう言うのを聞いた。

「わたしの民よ、彼女の罪にあずかることを望まず、彼女の災厄を共に受けることを望まないなら、彼女から出なさい。彼女の罪は重なり加わって天に達し、神は彼女の[数々の]不正な行為を思い出されたのである。

 

(※「思い出された」とは、「報復する時が来た」という意味です。)

 

そのために、彼女の災厄は一日のうちに来る。それは死と嘆きと飢きんであって、彼女は火で焼き尽くされるであろう。彼女を裁いたエホバ神は強い方だからである。

 

『(野獣は娼婦を)荒れ廃れさせて裸にし、その肉を食いつくし、彼女を火で焼き尽くすであろう

 

大いなるバビロンは、たったの一夜にして陥落し、人の住まない廃墟と化した古代バビロンと全く同じ結末を迎えることに定められているのです。

 

このシリーズは、次回まで続きます。

 

シリーズ最終回では、①大いなるバビロンと戦争について、

②「大いなるバビロン」対「真の宗教」についてです。