「そんな筈はない。ちゃんとわしは書いて――ああ、あった。ポケットの中に残っていた。これじゃ」
博士は笑いもせず、内ポケットから、皺くちゃになった紙片をつかみ出して、机の上へ放り出した。くすくすと笑う者があった。その胃内容物一覧表は、長谷戸検事の手に渡って、拡げられた。帆村は立上ると検事の背後へ行って、その表を熱心に覗きこんだ。
「もう質問はないかな。なければ帰るよ」
博士はもう腰を半ばあげた。誰も博士を停める者はなかった。博士がパイプに火を点けて、この部屋を出て廊下を五足六足歩いたとき、帆村が追って来て博士を呼び停めた。
「先生、あれはどうなりました」
「あれとは何じゃ」
「鼠です。鼠を解剖してご覧になりましたか」
「おお、そのこと……解剖はした。解剖はしたが、はっきり分らない。
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