暑さだけで言ったら9月いっぱいは残暑も含めて暑い。

 

だが、毎年夏から秋へと一気に気持ちが変わる瞬間がある。

 

それが夏祭りである。秋田では竿燈まつりが有名だ。

 

子供の頃は、何時も雨が降るかどうか心配な祭りであった。

 

太鼓と横笛、そしてリン。本当の名前はわからないリン。

 

見た目は浄土宗のおリンみたいな鉄器で手元で吊るして鐘を叩く。

 

大きな分類でお囃子と言えば太鼓と笛だが、このリンが良い感じで

 

テンポが丁度よくなる。

 

竿灯と書いた時期もあるが、今は竿燈と書く。

 

稲の穂を模った提灯を竹の棒を永く永く繋いで担ぎ上げる。

 

有名なお祭りは、神様の乗った台車を彩り、荘厳にして鮮やかな

 

装飾を施して街を練り歩くのが王道。それら台車同士をぶつけて

 

激しく競い合う姿は祭りの醍醐味だと思う。

 

だが、竿燈まつりはお囃子に合わせて竹の棒を掌に載せてバランスを

 

とったり、腰に乗せたり、額に乗せたりしてバランスをとる事が

 

最大の見せ場。前にも書いたが、昔は天気が悪くなる可能性が

 

高いので、風でバランスを失ってバッタバッタと竿燈が倒れた。

 

それが周りのお客さんの方へ向かって落ちていくのが最も楽しい

 

ひと時なのだ(笑)提灯の火が消えても止めの合図がかからない限り

 

何度もあげ直さないといけない。下手な町内だと全部の提灯が消え、

 

真っ暗な状態で上げ続ける姿がシュールだ。

 

おいらが大人になってからはどうも天気が良すぎて風もない。

 

昔のあのきゃあきゃあいうシーンが消えて、ただ上がっているつまらない

 

ものに思える。まあ、それでも技術がないと上げられないんだけど。

 

写真で竿燈が奇麗に映っている情景があるが、昔は上がって直ぐだけの

 

最高のシャッターチャンスだった。

 

この十数年は気温が暑すぎて夜になっても昼と変わらない。子供の頃は

 

夜は寒くて昼と夜が全くの別世界に映って幻想的だった。

 

観光客メインにしすぎてどの祭りも祭り本来の性質が変わった気がする。

 

おいらは、コロナ渦でしばらく見れなかった年もあったが、復活してから

 

まだ見たいと思えない。

 

ただ、この祭りが終わると不思議なものでこれで秋になるという実感が沸く。

 

若い頃通っていた海水浴場も対岸の国からのゴミが砂を埋め尽くして

 

ついに遊泳禁止になった。町自体が隣の市に組み込まれて町独自の自主性が

 

失われてどんどん衰退した地域となった。ゴミ収集をしようと思って

 

おいらも嫁さんと春に行ったが、とても個人レベルで回収しきれる量では

 

なかった。コロナ渦で3年止まった海の家が、今更運営できるレベルで

 

なくなってしまったのだろう。集まる場所には人が溢れるが、勢いを失った

 

場所は信じられないほど人が来なくなるのだった。

 

夏に海に来るのが習慣だったが、いつのころか行かなくなり、秋の人の

 

いない海を眺めるのも良いかもしれない。

 

去年より比較的過ごしやすい夏だが、元々夏に活動するのが苦手なおいらは

 

家でヤドカリの様に過ごす。