ばあさんや、飯はまだか?

 

もう食べたでしょ、さっき。

 

そうだったかね。うーん。

 

一分後

 

ばあさんや、飯はまだかね?

 

おじいさんたら、さっき食べたって言ったでしょ。

 

うーん、そうだっけ。

 

 

 

こういうコントが昔はかなりおかしかった。

 

子供の頃に同じことを何度も繰り返すお年寄りなんて

 

ただの冗談かと思った。

 

ところが親父殿がまさにこれになった。

 

しかももっとひどく、お金の話で何度も繰り返す。

 

 

父)ばあさんの銀行に預けてたお金が戻ってくるはずだが

 

  通帳に何時まで待っても入ってないんだが。

 

 

息)それはもう入ってちゃんと管理しているって言ったよね。

 

父)そうだっけ?でもここに書いてないよ。

 

息)体の具合が悪いから銀行行けないのでそのまま預かってと

 

  言ったよね。

 

父)うーんそうだっけ。

 

2週間後

 

同じことを繰り返す

 

以後、4か月間に定期的にこの話になる。

 

最初はボケてるのかと本気で怒ったが、マジで認知症気味だった。

 

最近はやっと話して大人しくなったが、初めの頃はおいらが

 

盗み取ったが如く睨みながら聞いてきたので、マジでキレた。

 

普通モードになると穏やかに話してくるし、体調が悪いことを

 

アピールして仕事からも一線を引く感じだった。だが、頭の中で

 

どう切り替わるのか、次の瞬間全く違う事を言ってくる。

 

おいらは普通モードの時の親父殿をちゃんと理性のある状態と

 

判断して、変な事を言ってきたときは相手にしないようにしている。

 

なるべく怒らずに丁寧に説明して納得させる。

 

 

お袋様が亡くなる数年前も親父殿が勝手に化粧品を使っているとか、

 

勝手に何か使われているとか大騒ぎしたことがあった。

 

子供にお小遣いをあげるために普段持っているカバンに財布がないと

 

大騒ぎして、全部預かっているから持ってくるよと言って納得する。

 

介護の人が出入りする時に取ったの取られたのと騒ぎにならない

 

ようにちゃんと管理していた。親父殿は自営業の経営者であるから

 

なお質が悪い。今でも自分で回していると思っているので名義は

 

親父殿のままだが、通帳管理が半分ボケているので金額が違う。

 

お袋様が亡くなって4ヶ月経ったが、この間激しいボケも進行中。

 

最初は本当にストレスだった。人の顔を見るとお金お金と話しかけて

 

来るので、仕事に影響しそうだった。今は仏の心をもって接しているが

 

たまに破裂しそうな今日この頃だった。