はじめて、曙マンションにお邪魔したのは、なんのきっかけで誰と一緒に行ったのかさえ覚えていません。「さあ皆さん、手をあらって。」の一言で部屋に入るや否や奥様せかされた記憶があります。皆、渋々台所に行って手を洗ったのか洗わなかったのか。その時、公文先生は見ていたはずなのに、何も奥さんに言いませんでした。このことが鮮明に記憶に残ってます。心の中で 『先生。俺たち奥さんにばい菌が入ってきたごとく扱われています。』 おもむろに、「よし僕の部屋に行こうか」 公文さんが自分の部屋に誘いました。とにかく本だらけで狭くて暗かった。そこでウヰスキーグラスでやり始めるわけです。得体の知れない、訳の分からない話が始まるのです。でも当時、青二才の私には大人扱いされたようでとても楽しく、かつ奥様には申し訳なかった記憶が、今でも夜遅くひとりで酒を飲んでると昨日のことのように蘇ってきます。