路上のソリスト | 緋色の日々是好日

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JRT(ジャックラッセルテリア)のマイロとアビィと緋色の絵日記です。

毎日の出来事を書いています。

路上のソリスト/スティーヴ・ロペス
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5月に映画にもなったという実話小説で、ロサンゼルスタイムスのコラムニスト、スティーブ・ロペスがそのコラムで書いたものに加筆したものだそうです。

ジュリアード音楽院で勉強していたほどのすばらしい才能を持つナサニエルは、黒人の路上生活者です。最悪といわれる環境の場所で、たった二本になってしまった弦のバイオリンを弾いていました。彼は統合失調症という病を持っていたのです。

作者は、この気になる彼ナサニエルに、はじめはコラムのネタとして接していくのですが、いつしか友人として、音楽を愛する彼を心の底から心配し、どうにかできないかと行動をし始めます。

しかし治療を拒否し、住める部屋を用意してもなかなか現在の路上生活をやめようとしないナサニエル。ロペスは悩みます。自分が思っている「ごく普通の生活」というモノは、果たして彼にとって幸せなのだろうか・・・。彼はこのままで充分幸せではないのか・・・・

統合失調症という病気は、自分はもちろん周りの人間にも辛い病気です。音楽を愛し、夢を語る彼が、今にも襲い掛かりそうだと思わせるほど血走った目で、口汚く人をののしります。・・・人格を豹変させます。そのたびにロペスは困惑し、絶望し、でもこのすばらしい友人を決して見放したりはしないのです。
ずいぶん平べったい言葉ですがえらいです!私は、精神疾患で悩むバンド仲間に対して冷たい仕打ちをしたことがあります。苦い過去を思い出しました。


最後は、劇的に病気も治り、音楽家として成功し、彼のあこがれのウォルト・ディズニー・コンサートホールでコンサートを開きました!  とはならないところが実話ならでは、これもまた現実です。少しずつ行ったり来たりを繰り返し、でも私には少しずつ彼がよい方向へ向かっているように思えました。


翻訳ならではの、独特の言い回しがちょっと読みにくかったですが、とても面白い、興味深い本でした。

映画の方はどうなんでしょうね、このロペスをロバート・ダウニーJr が演じているとか・・・。チャンスがあったら見てみたいような気がします。




以下読んだ本。


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音楽は自由にする/坂本龍一
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