今日は、少しだけ外交の舞台裏を。

2019年5月、令和初の国賓として来日したトランプ大統領ご夫妻。両国国技館で大相撲を観戦し、千秋楽では朝乃山関に「President’s Cup」を授与しました。

この時、当時の様子を伝えたネット記事でも話題になったのが、トランプ大統領の「特別なスリッパ」です。

 

 

大相撲では、観客は床に敷かれた座布団に座って観戦しますが、トランプ大統領ご夫妻には背もたれの付いた低い椅子が用意されました。さらに、土俵に上がる際には靴を脱ぐ必要があります。

とはいえ、一国の大統領に「靴を脱いでください」というのも、国賓をお迎えする側としては簡単ではありません。

そこで日本側が考えたのが、靴のように見える特別なスリッパでした。足のサイズに合うものを用意するのも一苦労だったそうです。

 

「日本の伝統は守る。でも、相手の立場や品位も守る。」

 

そのために、知恵を絞って「第三の方法」を考えたわけです。

実はこの時、私は支援要員として、急遽ワシントンから東京へ行くことになり、そのタイミングで、この特別なスリッパを東京まで運ぶことになりました。

まさか国賓訪問で「大統領のスリッパ」を運ぶことになるとは(笑)。

でも、これもソーシャル・セクレタリーの仕事。

 

表舞台では、大統領が堂々と土俵へ。
その舞台裏では、誰かが必要なものを準備し、確認し、届けている。

 

まさに、

水面上ではスイスイ。
水面下ではバタバタ。🐥

 

このエピソードで私が感心したのは、

「どうすれば日本の伝統を守りながら、相手にも敬意を払えるか」

そこまで考えた日本側のおもてなしです。

 

プロトコールは、「ルールだからダメ」と言うためだけのものではありません。

ルールを守りながら、どうすれば相手を大切にできるかを考える知恵。

私は、これこそが「おもてなし」の本質だと思っています。

 

さて、皆さんなら、こんな場面でどうしますか?

「決まりだから」で終わらせず、もう一つ別の方法を考えてみる。

 

案外、日常の人間関係にも通じる「アヒルの知恵」かもしれません。🐥