真・関ヶ原第２部暗闘の章1

加藤清正は、伏見の地震以降、真田家を良く訪れるようになった。
幸村や昌幸との会話から得る事が多い事と、幸村の義父、大谷吉継とは幼い頃からの仲間であった。
この日、幸村は新妻の安芸を伴って、伊達政宗の屋敷に招かれていた。

加藤殿、武田家は何故滅んだと思うかね。
昌幸は、清正に聞いた。
やはり、長篠の敗北で、山県、内藤、馬場などの名将を失ったからではありませんか？
清正が答えると、昌幸は首を降った。
それ以前の問題があったのよ。
家臣と主君の間に信頼がなかったのよ。
勝頼様は、家臣を信じていなかったし、家臣達は、信玄公に仕えるようには、従わなかった。
其処元と治部が仲が悪いのは、仕方ない。
しかし、そんな事をしていると、江戸狸が豊臣の内部分裂を画策しますぞ、私は狸に、煮え湯を飲ませた男。
だから、狸め、長男の義父になりおった。
豊臣は、一つでなければなるまい。
加藤殿、そこを考えて下され。
そう言って酒を飲んだ。
豊臣は、大事だが、佐吉は許せん。
清正は、そう言って酒を飲んだ。