昼間、幸村は、新妻の安芸を寝室に呼んだ。
暫く、そなたと同じ布団に寝れそうにない。
後ろ髪を引かれたくない。そう言って、安芸を抱き寄せ、愛情の全てを安芸に
注いだ。
安芸、今夜か明日あたり、地震が有るだろう。
留守を頼むぞ。
そう言って身支度を調えて伏見城へ登城した。
今日の共は、猿飛佐助、霧隠才蔵、穴山小助、高坂陣内、望月五郎を従えて行った。
城に入ると、石田三成が待っていた。
幸村、久しぶりだな。
新妻は、可愛いか?
三成にしては、珍しく冗談を言って、笑った。
そう言えば、幸村の結婚式で、無礼な振る舞いをした清正が、謹慎処分を受けたぞ、朝鮮との和解交渉を邪魔した事が理由だがな。
今夜の宿直、幸村なら安心して、下城できる。
頼んだぞ。
三成は、そう言うと、屋敷に帰って言った。
穴山小助が幸村に、石田殿の加藤殿嫌いも相当ですね。
呆れた顔で言った。
幸村は、豊臣を思う気持ちは、同じなんだが、相性だろうな。
幸村は、秀吉の元へ向かい、共の者達は、幸村の詰所へ向かった。
殿下、今夜は拙者が宿直にございます。
幸村は、挨拶した。
今夜の宿直は、幸村か?
枕を高くして眠れるな。
新妻を可愛がっておるか?子供ができたら、余が名付け親になってやろうぞ。
そんな会話を暫くしてから秀吉は、夕食を取った。
幸村も相伴した。
それから、お伽衆と雑談をしてから、秀吉は寝室に
入った。
幸村は詰所に戻り、少し
横になった。
そして、深夜、大地震が起こった。
瓦は落ち、いくつかの建物が倒壊した。
幸村は、秀吉を抱き抱えて本丸広場に避難した。
殿下、某がおります、ご安堵をして下さい。
幸村は、忍びをすぐに配置した。
高坂陣内が、走って来た。曲者が接近していると告げた。
殿下、曲者を退治して参ります。
幸村が行こうとしたら、矢が飛んで来た。
幸村は、刀でそれを斬った。
秀吉、くたばれ。
曲者が走って来た。
幸村があっという間に3人を切り捨てた。
曲者の大将は、慌てた。
貴様は、真田幸村。
沼田の仇を取ってやる。
我が名は、北条の旧臣荒木久兵衛なり。
推参なり。
幸村は、一刀両断で切り捨てた。
残りの曲者も、幸村の家来が退治した。
幸村、天晴れじゃ。
秀吉は喜んだ。
それも束の間、佐助が、百人ほどの集団が参ります。大将らしい人物が先頭です。
よし、一騎討ちにしてくれる。
幸村は、前に出た。
すると、大将らしい人物は加藤清正であった。
真田殿、先日は失礼しました。
太閤様の近辺を警護したく参上しました。
秀吉も、その声を聞いて、安心したようであった。
幸村は、秀吉に、殿下、
加藤清正殿なら、身辺警護をさせて問題ないかと、存じます。
お叱り覚悟で申し上げます。
どうか、お許しを。
秀吉は大声で、幸村、他ならねそちの頼みじゃ、今回に限り、清正を許してつかわす。
真田殿、忝ない。
清正は、涙を流して喜んだ。
暫くすると、石田三成が、島左近を従えて、現れた。幸村が清正と警護しているのに、驚いた。
秀吉は、三成を見つけると、佐吉、大義じゃ、そちは大阪に向かい、秀頼を見て参れ。
そう命じた。
三成は幸村に聞いた。
何で、清正がいるんだ?
幸村は、経緯を説明した。三成は、吐き捨てるように、清正は、運が良いわ。