【2050年某日】
「おじーちゃん、終わりの時代ってどんなだったの?」

「あぁ…酷い時代だった。悪魔を信じる科学者たちがな、毎日嘘の情報で国民を騙していたんだよ」

「どんな嘘?」
「大きな嘘から小さな嘘まで、いろいろだ。まあ、一番多くの人が騙された嘘は、感染症の嘘だな」

「聞かせて聞かせて」

「今思い返せば、本当に馬鹿げた騒ぎだった。ありもしない恐怖のウイルスに皆が怯えてな、仕事も文化も習慣も全部、潰したんじゃ、自らの手で」

「えぇ…ウイルスは本当は無かったの?」

「あぁ、ありもしない。だって誰も死んじゃいなかったんだ」

「でも、だったら誰も怖がらないはずだよね?」
「ところがそうじゃなかったんだよ。誰も死んでない、誰も重い病気にすらかかってない。でも、テレビが毎日、毎日、ウイルスがいた、ウイルスが増えた、って言い続けたんだ」

「そんなことで、その当時の人は怖がったの?」

「怖がったんだな。国民のほとんど全員がマスクを絶対に外さなかった」
「えっ?マスク??なんでマスクなの??」

「マスクをつけていれば、ウイルスの感染症にかからないと信じていたんだな」

「ちょ、ちょっと待ってよ、そんなわけないじゃん(笑)」
「いや、ところがだな、当時の日本人はマスクが病気を防ぐと信じていたんだ。心の底からな。」

「信じられない…。だってあの当時だって、インターネットがあったでしょ。自分で調べようと思えば調べられたはずじゃん」
「いや…調べなかったんだな。ほとんどの人は。テレビが言うことが全て本当だと信じていたんだ」

「えぇ…。おじいちゃんには悪いけど、その時代の人って、馬鹿だったの?」
「う~ん。馬鹿…ウマシカというよりは、羊だったんだな。自分で考えない、自分で判断しない、誰かが決めたことに絶対に従う、そういう生き物になるように、全員が何十年も教育されていたんだよ」

「えぇ…。俺、そんな時代に生まれなくてよかったよ」

「本当だね。あの時代の人間は、ロボットというか、奴隷そのものだったな。教育だけじゃない。物事を深く考えさせないようなモノや情報で溢れていた」
「それでさ、その時代の人、大勢が死んだんでしょ。」

「そうだよ。マスクを外さなかったロボット人間はみんな死んでしまった」

「毒の注射を3回も4回も打たされたんでしょ。酷いことする奴もいるもんだね」
「ああ、そこはちょっと違うんだよ」

「え?何が違うの?」

「打たされたんじゃなくて、自ら喜んで打ったんだ」

「え???」
「しかも、他人同士、家族同士、お互い毒を打つように勧めあってな」

「なにそれ…気持ち悪すぎでしょ…宗教みたいだ」

「ああ、この世の終わりを見ているような光景だったよ。人が大勢死んでる毒を、みんなが良い薬だと信じて、何度も打ち続けるんだ。死ぬまでな」
「…」

「…」

「おじいちゃん、本当にありがとうね。打たないでいてくれて。お母さんにも打たせないでくれて」

「そうだな。もし私があの時、騙されて打っていたら、お前とはこうして会うこともできなかったからな」

おわり