私心 一周忌を経て
人を人とも思わず、全てを軽蔑し、傲慢不遜に生きた僕の獣時代。
一匹の獣であった僕をお師匠は人間に変えてくださった。
シェイクスピアをはじめ、グレアム・グリン、エリオット、ドストエーフスキィなど
海外文学を通して人間そのものを教えてくださった。
そして、教育というものが何かということを、体得させてくださった。
僕の人生において唯一無二の尊敬する師匠の一周忌が行われました。
やはり、一年経とうと僕の胸にポッカリとあいた喪失の穴はふさがるはずも無く、
会場で独りボロボロと涙をこぼすばかりでした。
僕の行く末を気に掛け、遺書にまで僕の名前を出すなど、実の息子孫同然の扱いをしてくださいました。
しかし、不肖の私は師匠を失ったことで開いた穴の痛みを我が身我が心を汚すことで、
ぼろぼろに疲弊させて麻痺させることで乗り切ろうとした大莫迦ものなのでした。
本日はそのことを告白し、一度は外道に堕ちた身ではあるけれど、
決意を新たに文学を志すことを誓ったのであります。
また、遺書にのこされた通り、師匠の意思を継ぎ、その行動を後世に繋げるべく努力することにします。