ルイス・キャロル 『不思議の国のアリス』 | Pの食卓

ルイス・キャロル 『不思議の国のアリス』

    「輝け、きらきら、小さなこうもり、おまえのめあては何だろう!

     この世をはなれて高く飛ぶ、ちょうどみ空に茶盆のよう。

                             輝け、きらきら―――」

                        (キ印お茶会にて マッドハッターの歌)


『不思議の国のアリス』 には様々な歌が出てきますが、そのなかで最も好きな歌です。

とくに、この後で寝惚けた眠り鼠が 「輝け、きらきら、輝け、きらきら―」 と繰り返すところが、

なんともかわいらしくて好きです。 うるさいッと皆にツネられるのはかわいそうな話ですが、おもしろい。

下の方に皆さんに聞いてみたいナゾナゾもあるのでお暇な方は考えてみてください。


本日紹介させていただきますのは、ルイス・キャロルの 『不思議の国のアリス』 です。


alice
Lewis Carroll, 岩崎 民平, ルイス・キャロル
ふしぎ国のアリス

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おおあわての白ウサギを追いかけてアリスが穴に飛びこむと、奇妙で不思議な冒険がはじまります。オックスフォードの数学者が創り出した、ユーモアとことばあそびに満ちたイギリス児童文学の古典。

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『アリス』 は様々な文学、漫画、そして推理小説に多大な影響を与えた作品です。

とくに中井英夫さんは傑作短編集 『不思議の国のアリス・ミステリー傑作集』 を編んだり、

また暗号小説 『秘文字』 の冒頭では 『アリス』 の有名な冒頭の一文を引用したりしています。

『アリス』 のなかには誰もが頭をかしげてしまうような謎が満ち溢れている


なかでも、マッドティーパーティは狂った論理の飛び交う諧謔趣味溢れるものです。

一見、めちゃくちゃなことを言っているようで、よくよく考えてみるとなるほどと納得してしまう。

例えば帽子屋が 「この帽子は売るためにかぶっている」 と言うのですが、まともに考えると変な話です。

しかし、テニエルの挿絵を見てみると、なるほど、ちゃんとその帽子には値札がついている。

めちゃくちゃな話をしているにも関わらず、どこか一本筋の通った会話、それがお茶会の会話です。

全編を通して言えることではありますが、それが 『アリス』 の面白いところなのかもしれませんね。


今回紹介させてもらいました岩崎民平訳、これがまた味があっていいのです。

巻末についた訳者注が語り口調で書かれており、まるで訳者の岩崎さんと話しているようです。

また訳者の岩崎さんも諧謔趣味があるようで、訳注のあちこちにシャレめいたことが書かれており、

読んでいて、おもわず笑ってしまいます。


さて、ここまで読んでくださった皆さんに一つお聞きしたいがあります。

作中に出てきた帽子屋の謎かけ、皆さんの考える答えを知りたいのです。


    Why is a raven like a writing desk?

    「黒鴉が机に似ているのはなあぜ?」


作者ルイス・キャロルの話によると、話を作ったときには解答なんぞは無かったけれど、

あまりにも読者から解答を求められるので、以下のような答えを用意したらしいです。

(ネタバレでも何でもありませんが、一応反転。)


著者解答: Because it can produce a few notes, tho they were very flat;

      少しはnote (鳴き声、ノート) を出せるが平ったい(音が、形状が)ものだから。


おもしろいなぞなぞであるため、訳者も自分で解答を考えていたりします。

訳者解答: どちらも ink-black (インクのように黒い、インクで汚れて黒い) ものだから。


もちろんでたらめな謎かけなので正答があるわけではありません。

おもしろいつながりが見つかりましたら、コメントまでお願いします。

僕も一応考えてみました;


Pの解答: どちらも勉強しているから。 

       (カラスは他の生き物を見て、行動を学習し、頭が良くなる。)

       (いくらその上で勉強しても、頭が良くなるのは机ばかり。)



四角四面に考えたって始まらないので、楽しんで考えたくなります。