仁賀 克雄 『ロンドンの怪奇伝説』 | Pの食卓

仁賀 克雄 『ロンドンの怪奇伝説』

今日ご紹介するのは、先日行った TRICK+TRAP で購入した、

仁賀 克雄
ロンドンの怪奇伝説

ロンドンは怪奇現象や幽霊、怪人など多く輩出する古い都です。
中には恐ろしい切り裂きジャックや今なお愛されるブラックフライヤーズの幽霊などなど。
現実におきた事件、おきたかわからない事件、いろいろな噂があります。

この本では切り裂きジャック以前の話が扱われています。

時代で言うと、ヴィクトリア朝前期、後期、ヴィクトリア朝以前です。

つまり18世紀~19世紀といったところです。


この頃のイギリスはパクスブリタニカ(世界の平和は英国が作る)と言われるほどで、

世界中に植民地を持ち、国内は産業革命などで潤い、ロンドンは世界都市でした。

しかし、そういった時代であっても、政治不安などはあります。

そのような不安があると必ず湧くもの・・・それが怪奇話、都市伝説です。


扱われている都市伝説は三つ。


・ヴィクトリア朝後期、ばね足ジャック Spring Heeled Jack
・ヴィクトリア朝前期、殺人床屋スウィーニートッド Sweeny Todd

・ヴィクトリア朝以前、地獄の火クラブ Hell Fire Club


どの事件も時の有名人が関わっており、

英文学を志した人ならば耳にしたことあるかもしれません。


ばね足ジャックはイギリス中を飛び回った怪人。

燃えるような大きな目と口から吐く青い炎、鋭いつめで婦人の服を切り裂きます。

なんでも切り裂きジャックが出る以前、「ジャック現る」と言えばこの怪人だったそうです。

ロンドンの屋根を飛び回り、結局のところ捕まることはありませんでした。


スウィーニートッドはその強烈さから様々な架空の悪人の原型となりました。

たとえば、『羊たちの沈黙』ハンニバルレクターなど食人癖のあるキャラクターです。

トッドは床屋に来た人間を金品目当てで殺します。

そして殺した後、残った死体をとなりのパイ屋に持って行き、

人肉パイをつくり、羊肉と称して売るのです。

まれに見る非常にセンセイショナルな事件です。


地獄の火クラブは放蕩貴族の作り出した倒錯の世界。

悪魔崇拝、黒ミサ、乱交、殺人以外の数々の悪徳が許されたクラブです。

そしてそのクラブに属していた人物、驚くばかりです。

名士や有名作家詩人でとどまらず大臣、さらには皇太子や後の王までもクラブ員でした。


これら三つの事件や都市伝説に関して、詳しく書いてあります。

また本の中では一応の解決として事件の真相に迫る姿勢がうかがえます。


ロンドンの都市伝説やヴィクトリア朝の底辺を味わいたい方は是非買ってみてください。

おもしろいと感じてくださると思います。