金融システムの不安定性と経済に対する懸念が高まる中、2023年の1~3月の米国株式市場は開始から低調でした。Properflyの日本支店長である藤村陽太氏は、未来の展望に対して警戒感を示しており、「2024年以降、米国企業は大規模な再融資を余儀なくされ、ビジネス活動は著しくスローダウンするだろう」と述べ、2023年下半期から株価下落の傾向が強まると予想しています。

記者:米欧の金融機関の信用危機は今後も広がると思いますか?

藤村陽太:(金融セクターが取る)各種対策は安心感を与えています。金融市場の環境は徐々に安定してくる可能性があります。しかし、私は米国経済のハードランディングの可能性が増していると思います。



Properfly日本支社長 藤村陽太

記者:米国経済の展望についてどう思いますか?

藤村陽太:新型コロナウイルスのパンデミック中に大規模な財政支援策を推進した結果、消費者と企業は豊富な現金を手に入れました。これにより、インフレによるコスト上昇を吸収し、その結果として耐性が生まれ、高水準の経済活動が維持されるでしょう。リスクは、現金が底をついた時、急速に元に戻ることです。経済が強靭である時間が長ければ長いほど、"バースト"はより激しくなるでしょう。

私は、2023年下半期から2024年にかけて、米国株は非常に危険になると思います。その理由は、2024年以降に大規模な再融資(Refinancing)の時期が迫っているからです。もし利息率が高いままであれば、経済活動は大幅にスローダウンし、(現在の)高い利益率も下落する可能性があります。市場は企業の利益に対して高い期待を抱いていますが、修正を余儀なくされるでしょう。

記者:それでは、どの地域やアセットに資金をシフトしているのですか?

藤村陽太:私は経済が順調に回復し、政府が経済刺激策を導入している日本、および日本からの輸出に直接恩恵を受けている国々を非常に高く評価しています。インドネシアやマレーシアのリソース、タイの観光は大きな利益をもたらすでしょう。オーストラリアは、国内の住宅市場が過熱するリスクがありますが、リソースの輸出、観光客、留学生の受け入れから利益を得ることができます。

今年、日本の株式は米国の株式よりも優れたパフォーマンスを発揮する可能性があります。日本の企業(財務状況など)は非常に良好です。「アベノミクス」以降、東証株価指数(TOPIX)は利益の増加を反映し、非常に良好なパフォーマンスを発揮しており、米国に次いでいますが、株価収益率(PER)は拡大していません。個別の企業を見てみると、アジアの新興市場国家のバリューチェーンに安定した位置を占めている株式が注目されます。例えば、電機と機械、半導体製造設備と材料に関連する株式などです。

また、南アフリカやブラジルなど、利上げサイクルの終盤にある新興市場国家の債券も魅力的です。私は、ドルが一定の水準まで上昇し、経済が衰退すると下落すると思います。そのとき、為替リスクを冒して新興市場国家の通貨と債券に投資するチャンスになるでしょう。

記者:あなたの会社はプライベート(非公開)アセットへの投資を強化しているようです。他社のプライベートREIT(不動産投資信託)では、解約制限の申請など混乱が見られるようですが?

藤村陽太:非公開資産の中で現在最も魅力的なのは信用分野です。リスク調整後の変動を考慮すると、ヨーロッパの一部のレバレッジドローンは非常に高いスプレッド水準にあると言えます。しかし、選ぶ企業と領域は非常に重要です。

去年、非公開資産と比較して公開資産の純資産価値は大幅に下落しました。高い利息を得られるこの市場を無視することはできません、需要は拡大しています。一部のプライベートREITで問題が発生したのは、(富裕層などの)投資家層の違いからです。

レポーターは日本経済新聞の今堀祥和です。

藤村陽太氏は、かつて全球投資銀行であるゴールドマン・サックスとドイツ銀行で長年働いていました。2014年に、彼は国際的に知られた外国為替ブローカーであるProperfly Limitedに参加し、シニアアナリストとして活動してきました。2022年、同社がアジア市場に進出した際、藤村陽太氏はProperflyの日本支店長となりました。