「何でいつも手袋をしてるの?」
部署異動した先で出会った同僚に尋ねられました。
「アトピーが酷くて。でも今、薬を絶つ事にトライしているの」
「ふうん、手袋を脱いでもそんなに気にならないけどね」
と何気なく手が触れた瞬間、
「ああ、もう大丈夫かもしれない」そう感じました。
2年以上手放せなかった包帯や手袋を、この日からようやく外す事が出来ました。
包帯からも手袋からも解放された身体は、とても心地良く解放的で、清々しく感じました。
それでも、傷痕のようなものが肌のそこかしこに残っている事が気になっていました。
その醜いと感じていた痕跡も「痛くはないの?」と労られる事はあっても、嫌悪されるものではないのだと、彼を通して知りました。
これまでで最も感情が揺り動かされる恋愛の始まりでした。
全てを肯定される喜びは何にも変え難いものでしたが、感情に飲み込まれ自分を見失い、相手に合わせすぎてしまう事もしばしばありました。
彼に会いに行く時は、世界中で今一番私が幸せだと感じる反面、どこか自分と分離している心許なさが拭えませんでした。
「彼を思い通りにしたい」
そんな気持ちを抱いた私が、今も師事するメンターに会いに行ったのは、この揺れ動く時期でした。
おそらく、彼との恋愛が無ければ、メンターには会いに行くことはなかったでしょう。
そして、この仕事も生まれなかったことでしょう。
結局、この恋愛関係は数年間の後に終わらせる選択をしましたが、この親密な関係と、それを終わらせる選択は、私の人生を大きく変える転機となりました。
それは私が自由に生きる人生へ舵取りするために、必要な出会いと期間だったのだと、今の私は思うのです。
思いっきり学び尽くして、次のステージへ向けて「卒業」という言葉が一番しっくり来ます。
あれから一度も会う事は無く、連絡を取る事もありませんでしたが、私の住む地域の大災害のニュースが報じられた時にはすぐにメールが届きました。
数年振りに届いた彼からのメールは、出会った頃に私を救ってくれた瞬間が思い出され、ただ素直に嬉しかったです。
順風満帆|Pro-OL(プロ-オーエル)戦略室
天沢順子

