BNAの前日譚ということで、アニメ1話を観た後にソッコー密林で予約しましたニヤリ

発売日当日の夕方に届いて、その日の夜から読み始めて今日やっと読み終えたのですが、結論言っていいですか?


It’s the best!✨

何が最高かって、フィクションの物語の中に史実を上手に織り交ぜてあってリアリティがあったからです!(そういうの私、とても大好きです爆笑)



※以下、ある意味アニメ本編のある人物についてのネタバレ有※

 
物語はアニマシティの市長バルバレイ・ロゼ(以下、ナタリア)の、少女時代のモノローグから始まり、舞台は第二次世界大戦の欧州。

ナタリアは獣人専用の強制収容所に収容されていて、彼女はそこを「ここが自分の死んでいく場所になるのだろう」と諦めていた。

鉄格子の中で、看守に牢から引きずり出される他の獣人の悲鳴を聞きながら絶望する日々がナタリアの日常だった……そこに現れ、ナタリアを救ったのが、獣人達に古くから伝わる銀色の狼の救世主──銀狼(大神士郎)。

ナタリアは彼と共に戦火で荒廃した欧州各地とアメリカを旅して、さまざまな街で出会った獣人達を助け歩いていくという、人情(獣人情?)物語みたいな。

市長と士郎さんのはじまりのお話。


獣人を強制収容所に入れて人体実験〜は、ナチのユダヤ人迫害(ホロコースト)がベースになってるんだろうし、占領地で敵兵と情を通じた女性達を頭丸刈りにして赤ん坊もろとも村八分して追放……ていうのもまんま史実だし。

民衆の行き場のない怒りや憎しみを獣人達に向けるよう扇動して、集団エキサイト状態になって暴動を起こすなんていうのは……戦後のポーランドであったポグロムだし。


史実の中にうまくフィクションを織り交ぜて、しれっと戦後欧州の混乱が表現されていて……なんていうか、私が単純なのかもしれませんが歴史小説を読んでいる気分になりました。


この物語の舞台である戦後欧州(おそらくドイツが降伏してフレンスブルク政権が解散した後くらいの時期?)の時点で、1000年以上生きていた士郎さん……あなた今、何歳ですか?
ナタリア(ロゼ)は当時15〜16歳(1929年生まれだと仮定)だったとして、現在は90歳くらいかな?……元気なおばあちゃんだびっくり

なるほど、だからアニメ本編で市長は杖をついていたのか……

士郎さんはかつて若い頃(1000年以上前?)、人間の獣人に対する非人道的で残虐な行為によって故郷を滅ぼされた過去があり。

同じような過去を持つナタリアは、士郎さんを救いたいと思うようになる。

士郎さんの過去について書かれているのはこの本の第四話なのですが、結構読んでいてしんどかった……失われた故郷と自分の過去、そして自分の罪をナタリアに語る士郎さんは、なんというかまるで「懺悔」してるようで……

あんまり細かく書いちゃうとすごいネタバレになるから(もう既に遅い気がするけど)これ以上は書けないけど、すごく印象に残った台詞をひとつだけ。

ナタリアがアメリカで士郎さんと別れる時に言った台詞。


「まっさらな人。怒りも絶望も吹き飛ばしてくれる、希望と可能性にみちる人。
これから何にでもなっていける人。」



ナタリアが考える、「士郎さんを救うことができる、彼に本当に必要な人」の条件。
これ、みちるの事じゃないかなー。って思いました。
もちろんこの時、みちるは生まれてもいないのはわかってますけど(みちるの曾祖父母の時代じゃなかろうか)   

「可能性に"みちる"」……「満ちる」と漢字で書かずに平仮名で書いてあるところに深い意味を感じました←


主人公のみちるは出てこないけど、ナタリアが「バルバレイ・ロゼ」になり、士郎さんが今の「大神士郎」になるに至るまで描かれていて、BNA好きな人(特に士郎さん大好きな人)は是非、読んでほしいです。
(お茶目な士郎さんが見れますよ!)

この本を読んだ後にもう一度、本編を観てみると初めて観た時とはまた違った見方で物語を見ることができると思います。

……特に6話とか。銀狼教について話す市長と士郎や、なずなと対面した時の士郎のリアクションなど。


All I want to say is READ IT!