親友を殺した日の夜
















またナナコさんはおれの家に出た

















言葉は通じるらしく、ナナコさんを殺した男は悪いけど男みんなが悪いわけではないと言ったら少しばかり納得してくれたようだ
















そしてネットでその男について調べたら、男は無期懲役となり、その二年後刑務所で自殺したらしい






















ナナコさんにその事を伝えたら、両手を挙げて喜んでいた






















もう現世にいる理由もないハズなのになぜ成仏しないのか不思議に思ったが、自分に危害を加えるわけでもないのでそっとしておいた














その日の夜は二人で祝賀会を開いた
















ケーキを買ってきてあげたのだが、ケーキのロウソクにひどく怯えていた



















もしかしたら成仏出来ない理由はこれかと思い、徐々に火の怖さを取り除いてあげることを決めた



























それから三週間ほど経ち、どうやら火に対しての恐怖心は消えたようだ


























でもなぜか成仏しない

























幽霊のクセに一丁前に飯を食うし、何げにわがままだし


























これでは金もストレスも普段の倍だ





















どうすれば良いんだ・・・






















ふとAさんの頭をあるものがよぎった






















それをキッチンの棚から取り出し、ナナコさんに振りかざしてみた






















ナナコさんの反応は予想した通りだった























やはりフライパンか・・・




















この恐怖心を取り除けば成仏してくれるのか



























念のため、ナナコさんに怖いものを聴いてみた

































あの男とケンカしたときに殴られたから人の右手が怖い

















子供の頃、味噌汁にハエが入り込んでいたことがあり、味噌汁もハエも怖い



















机の上に置いた携帯のバイブ音が怖い
























ある肉料理に入っているパイナップルが怖い
























耳鳴りが怖い

































おれは右手に持っていたフライパンでナナコさんを殺した






寝苦しい夜






眠れる気がしない









でも明日は朝が早い














だから早く寝なければ















Aさんは焦っていた














寝たいときに限って思考が働いてしまう














今日Bさんが話していた怖い話を思い出していた





















ナナコさんって知ってるか?








実在した人なんだけどさ













死んだんだ。25歳で










当時同棲していた彼氏に殺されて




















その彼氏、浮気しててさ










ナナコさんに浮気がバレて、ナナコさんが相手の女性に電話しようとしたときに
















彼氏が逆上して












近くにあったフライパンでナナコさんを殴打したんだ













それでも治まらずガスの火を着けてそこにナナコさんの顔を押しつけたんだ






















ナナコさんは今も成仏出来ずにいるらしい















今も熱い熱いと言いながらさまよっているんだ
























Aさんは怖い話は嫌いではない







信じてもいない
















だが、ふと耳をすますと

















熱い熱い・・・









助けて・・・








私は悪くない・・・












ワタシハワルクナイ














ワルイノハアノオトコ












オトコガニクイ





























シカエシヲシテヤル





















Aさんは自分に何が起きているのか分からなかった




















息苦しさを感じ、目を開けてみる


















多少は心の準備も出来ていたが、やはりいないはずの人間が目の前にいるとなると恐ろしい
















しかもその女性は手にライターを持っている




















シカエシヲシテヤル


















おれは浮気なんかしていないし、あなたを殺していない
























オトコガニクイ





















確かにおれは男だけどさ






























なぜかAさんは冷静な気持ちになれた















ふとBさんの話の続きを思い出していた




















ナナコさんの呪いを解く方法教えてやるよ










おれは完全にどうでも良かったのだがノリで聞いておいた


























ナナコさんの呪いを解くには・・・





























丸い玉をナナコ集めれば良いんだ











































おれは次の日、親友を殺した





暑いと出かけるのさえためらってしまう







でも気温は高くても、風が涼しかったりするんだよね















一番暑いのは家の中なんだよね











だから家から出てしまえば外なんか涼しく感じられる












家を出るまでの辛抱だ















さぁこのクソ暑い家からおさらばだ



























クソ暑ぃ・・・





私が総理大臣になったら




日本をこうしてああします




よりよい日本をつくります

















うんざり










政治のマニフェストも











この暑さも














いままでいくつのマニフェストが達成されたんだよ























太陽はマニフェストをこんなにも忠実に達成しているのに


















ただ、ちょっとがんばりすぎかな



















がんばりすぎても支持率下がっちゃいますよ




君は僕を忘れたんだろ












僕はそれを受け入れたんだろ













同じ景色に僕らはもう写らない


















もしも声のないつぶやきに気付けていたとしたら














もしもあの時、争わずに抱いていたとしたら



















君のためのもしもが溢れてくる



















本当は、こんなのフィクションでさ













明日の朝キミが電話で












「本気にしてた?」














なんて言ってくれるのかな














そんなことないってことくらいわかってる


















時を戻してキミを探す














そこで見付けたのは











「思い出」




っていう残骸
















嫌でも色褪せていってしまう

















でもね

















僕の部屋の灯りはまだキミの影を覚えているよ












だからまたキミを思い出す


















そして懲りもせず、また考えてしまうんだ

























君のための100のもしもを