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『花君と恋する私』。切なくて、登場人物の心情が心に直接響いてくるような、透明感があり儚さを感じるような作品で、落ち着いた画風でありながら、心に強く響く作品。それでいて、2人のやりとりはおもしろく、全体として読み応えもあり、共感したり、つい登場人物と一緒に、まるで自分のことであるかのように考え込んでしまう。

花君が七世に避けられたり、七世が花君とのことを考えて悩んだり悲しんだりしてるのを見ると、胸が締め付ける想いだった。これまで、離れてしまった2人を見るのが自分のことのように悲しくてもどかしくて…、でも、この10巻で、2人はまた一緒にいられるようになって、またあの2人のやりとりが見れて、ホントに嬉しかった。花君もすっごく嬉しそうで、自分自身も嬉しくて、幸せになれた。これほどまでに共感し、自分のことのようにのめり込んでいく作品があっただろうか、とさえ想った。

絵もかわいいけどシンプルで、決して華美ではなく、華やかに、あるいは豪華に描かれているということもない。それでも、鮮烈なまでに心に響くものがあり、高校生のこの時期にしか味わえないような複雑な恋心と、それを取り巻く淡い気持ちを感じさせ、また七世のことを諦めないと強く想う花君の気持ちにも触れることができるような、たった一冊で大切な気持ちをたくさん教えてくれるような作品だと想います。でも、七世のお父さんとのことで、また波乱の予感。9巻から10巻の展開も夢中になって読みましたが、はやくも続きが気になります。11巻を、待ちましょう(*^^*)