遺伝子栄養学の世界ではもう常識になっていますが、細胞の寿命を決めるテロメアは人間の病気に大きな影響を及ぼしています。

テロメアとは染色体の末端を保護するDNAとタンパク質からなる構造物です。細胞分裂の度にテロメアは短くなり一定の短さになると分裂が止まります。要するにテロメアが短いと細胞分裂の回数も短くなるわけで、人間では高齢者は明らかに分裂回数が相対的に少ないということがわかっています。

つまり、テロメアの短縮による細胞の老化が個体の老化の原因となっているということなのです。

加齢に加えて、喫煙者や運動不足の人もテロメアが短いという海外での研究もあり、活性酸素がテロメアの長さに悪影響を及ぼしていることもわかってきています。

糖尿病(2型)とテロメアの関連についても、その長さを調べると糖尿病の人は明らかに短く、膵臓のβ細胞からインスリンホルモンは分泌し血糖値を安定させていますが、糖尿病の人はそのβ細胞という細胞のテロメアが短くなっていることで糖尿病になっていくという研究が進んでいるのです。

運動、規則的な生活、脱喫煙のほか栄養面ではテロメアを保護する役割の強いポリフェノール類(特にレスベラトロール)など対策は沢山あります。

しかし、がん細胞にはこのテロメア自体を長くする能力あると言われています。それに対して正常細胞はテロメアをつくる酵素の働きを抑制する機能が備えられていますが、がん細胞はその抑制機能が活性酸素によって損傷を受け機能が果たせなくなり、テロメアを短く出来ずに分裂が止まることなく増殖し続けるのです。

こういったことから活性酸素対策がいかに大事であるかがわかります。

ただ、体内には神経細胞や筋肉組織など、細胞分裂をほとんどしない細胞で出来ている組織があるわけで、テロメアによる細胞老化だけでは人間のからだ全体の老化についての説明は根拠に乏しいということになります。

まだまだ人間の体内は謎だらけということです。