『ある愛の詩』という、1970年にヒットした恋愛映画があります。 主人公のオリバーは、大金持ちで代々が名門ハーバード大学出身という家柄の一人息子。 あるとき彼は図書館で、貧しい移民の音大生のジェニーと出会い、恋に落ちる。 彼女は卒業後に奨学生としてパリに留学することになったが、オリバーは「行かないで、僕と結婚して!」と告白する。 だが、あまりに身分の違う結婚に、オリバーの父親は猛反対。「お前には一切の援助をしない」と勘当を言い渡す。 それでもオリバーは意思を貫き、家を飛び出してジェニーと結ばれる。 しかし、つましくも幸せな2人の暮らしもつかの間。ジェニーは白血病を患い、わずか25歳の若さで亡くなってしまう…。 ――というストーリーです。 「これじゃあ、ひねりも何もない、一昔前の純愛ドラマではないか」と思われるだろうけど、それは仕方ない。まさしく「一昔前の純愛ドラマ」の代表作そのものだから…。 で、2人の新婚生活が始まって間もないときの場面――、断絶していたオリバーの家から、「父親が60歳になったからぜひ食事に来なさい」という手紙が届く。 父親を許すことのできないオリバーは、この招待を感情的に拒否。一方で妻のジェニーは、父と子が和解する二度とないチャンスだと考え、わざわざ電話で「残念ながら行けませんが、オリバーも彼なりに、お父様のことを愛しています」と伝える。 ところが、はたで聞いていたオリバーがこの言葉に激昂。「余計なことをするな!」と彼女を押しのけ、電話を切ってしまう。 悲しみのあまりジェニーは、外へ飛び出していった。自分のしたことに気がついたオリバーは、彼女を街中探し回る。 日が暮れて辺りが冷え込んだころ、自宅の前でぽつんと座り込んでいるジェニーの姿をやっと見つける。 オリバーは彼女のそばに寄り、「I'm sorry(ごめんなさい)」と詫びる。それに対してジェニーは、思いを込めた静かな調子で、この映画の有名な決め台詞を口にする。 「Love means never having to say you're sorry」 すごく簡単な単語しかないけど、これを台詞として訳すとなると、相当に難しい…。 直訳すれば、「愛とは、『ごめんなさい』と言う必要は決してないことを意味する」、ということになる。 会話調に意訳すれば、「愛しているから、ごめんなんて言わなくていいのよ」といった感じだろうか。 あえて補足的な長い言葉にしてみるならば――、「人を許すために、相手に謝ってもらう必要なんかない。謝罪などなくても、愛はすべてを許すものだから」、ということなのでしょう。 よく子供などに「ちゃんと謝ったら許してあげる」と言うけど、そうではなく、「謝らなくても許す」。つまりは、無条件の愛ですね。 (ちなみに映画の日本語字幕では、「愛とは、決して後悔しないこと」と訳されている。ストーリー全体になぞらえた美しい言葉だけど、この台詞に含まれているメッセージとは、やや違いますね…)◇ 同じ台詞が、映画のラストシーンでもう一度出てくる。 ジェニーが難病に冒されている事情を知り、絶縁していたオリバーの父親が駆けつけて来て、「助けになりたい」と言う。しかしそのとき、すでにジェニーは他界してしまっていた。 父親は息子に、「すまなかった…」と詫びる。 息子のオリバーはそれをさえぎるように、亡き妻ジェニーに言われたのと同じ言葉を、今度は父親に向けて告げる。 「愛は、謝ってもらわなくても、すべてを許すものです」と――。◇ で、この映画を「若い男女の悲恋の物語」と見ると、単に時代遅れの旧作にしか思えないのだけど…、 ここであえてスピリチュアルな観点から、「オリバーとジェニーの2人が、実は1つの魂だったならば」、そして「その魂にとっての主テーマが、父と子の関係であったとすれば」という見方をしてみると、なかなか面白い展開として見えてくる。 つまり―― その魂にとって、「父親との確執を超えて許す」ということが、今回の生における大きなテーマだった。 その「許し」は、多くの人類が共通して抱える「カルマの解消」の一つでもある。 しかし、過去の人たちが踏んできた轍(てつ)や、魂の経験則から見て――、親子間の許しというのは、普通のやり方では簡単に実現し得ない、非常に難しいテーマの一つである。 それくらい、親子関係に横たわる確執は根強く、かたくなな「条件付け」によって、その解消が生涯にわたり阻まれてしまうのが常である…。 そこでその魂は、新しいチャレンジのやり方として、自らを2つに分け、男性と女性の2人となって転生した。つまり「ツイン・ソウル(双子の魂)」である。 地上で互いに巡り合った魂は、男女の仲において「愛は、謝罪がなくても、すべてを許すもの」であることを経験的に伝え合った(同時にその出会いが原因で、父子の関係が断絶する)。 そうした後に、片方の魂は、若くしてこの世を去って行く。 残された魂は、「愛は、謝罪がなくても、すべてを許すもの」という学びを、今度はそのまま父親との関係にあてはめる。 そうすることによって、「父親との確執を超えて許す」という困難なカルマ解消が遂げられる――、といった筋書きだ。 無理にこじつけた話のように感じるかもしれないけど――、でもツイン・ソウルの関係や、この世界での目的って、そういうものではないかなと思う。 ツイン・ソウルの話って、「どうやって運命の相手と巡り合うか」に興味が向けられがちだけど――、でも本当に魂にとって大事なのは、「巡り合って何をするか」なのでしょう。 互いに惹かれ合う、あるいはなぜか離れられない双子の魂だからこそ成し得る「何か」があるから、その2人という形で地上に生まれてきたに違いないと思うのです…。◇ 結びのヒーリング・ミュージックは、Steven Halpern「Deep Theta Brainwave Entrainment」。
自由人の カルマ・ヨガ ノート
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