使徒パウロの宣教旅行は、多くが船を用いて行われました。当時の航海技術は優れたものでした。もちろん、当時はエンジンやモーターなどありません。航海は、良い風を背に受けねばならないのです。彼らの実りある宣教旅行は、神の恵みの風を背に受けることでした。私達は自らの努力ではなく、神の恵みの風により進まねばならないことを聖書は語っています。以前も言いましたが、人間が霊的に生きようとする時に４つの状態があることを話しました。それは本文のように船の航海に例えることができます。

１つは航海している。（Sailing）風を帆に受けて進む状態です。これは人間の力によるのではありません。船が風の力によって進んでいく時に、人間の努力は要りません。大切なことは、吹いている風の方向をよく見極めて、風の方向に合わせて帆をかかげることだけです。同じように私達は、神の恵みを受けて霊的に進む時のみ、継続的に、実り豊かに霊的な歩みをすることができるのです。

2番目は漕いでいる（Rouwing）状態です。人間の力で必死にオールを動かしている状態です。映画ベンハーを見たことがある人は、何十人もの奴隷が鎖につながれたままオールを漕ぐ姿を思い出してみて下さい。人間の力で前には進みます。しかしながら、それは長続きしないのです。多くのクリスチャン生活が、挫折したように思えたり、息切れしたり、罪の中から抜け出せないように思えるのは、神の恵みに頼るよりは、人間の力で何とかしようとするからです。私達が決して忘れてはならないことは、神の恵みの風は常に吹いています。順境の時も逆境の時も、神の恵みの風は吹いています。そのことを信じますか？私達は時に、試練や苦しみの時に、神の恵みはここにはない。神は私を助けてくれないと勝手に思います。それで、神の恵みにより頼むよりは、人間の力で何とかしようともがき始めるのです。それでますます悪循環になります。私達は自らの力で何とかするよりも、神の約束を見上げて、信仰によって主を賛美し、感謝するべきです。その時に私達は、神の恵みを再び見出すことができるのです。その代表的な聖書はダビデの書いた詩篇です。詩篇は、試練と苦しみの中でもがき、叫んでいるダビデたちの姿を見ることができます。時には不平不満を言い、自分は神に見捨てられた、神の恵みなどないとまで言います。しかし、そのような苦しみの中でも、自分自身を見るのではなく、神の約束を信仰によって見上げる時に、神の真実な憐れみと恵みを発見して、主を見上げて賛美し、感謝をささげるダビデの姿を見ることができるのです。つまり、苦しみの中でも、恵みの風は吹いているということです。人間の力により頼まず、あくまでも主の約束に頼るときに、私達は長続きしない人間の力によらず、主の恵みの力により進んで行けると信じます。

3つ目は漂流（Drifting）している状態です。風を受けることもできない、とりあえず前に進もうとする人間の力もない。よって漂うしかありません、どこに行くか分からない状態です。

最後に4つ目は沈んでいる（Sinking）状態。霊的にどんどん落ちています。私達は今、どの状態にいるでしょうか？

最初の宣教師パウロたちは、沢山の迫害や困難がありながらも、聖霊の風を帆に受けて進んでいたからこそ、乗り越えることができました。

使徒言行録の宣教旅行は、詩的でもあり、霊的でもあり、私達の信仰生活、一週間の歩みを物語っています。私達の一週間はどうでしょうか？主日に神の恵みを受けて、月曜は航海し、しかし火曜水曜は人間の力でオールを漕いで、木曜金曜は力がなくなり漂いながら、土曜は沈みながら何とか主日を迎えるようなことがあるだでしょうか？これはありうる話です。それゆえに、毎日、毎瞬間、神の恵みの風を受ける必要があります。日々のQTや霊的な書物を通しても、早天の祈りを通しても、神の恵みを受け続けるならば、私達は世の荒波の中を進んで行けると信じます。

クリスチャンの４種類の信仰の状態について