Dr『脱出する痔核の手術はこれまで、入院して完全に治す根本手術が主流でしたが、約10年前にジオン注射法という治療が導入され、痔核の状態によっては日帰り治療が可能になりました』

Dr『はい。内痔核は脱出するようになって時間がたつと、自分の内痔核による圧迫で肛門全体の血流が悪くなります。長期化するとその結果、内痔核の下の血管に血液が溜まって肛門の外が腫れます。これが外痔核。
これも、始めのうちは内痔核が脱出している間だけですが、そのうち内痔核が戻った後も外痔核の腫れが残るようになります。更にに時間がたつと、内痔核と外痔核が一体化してしまい、内痔核を中に戻しても外痔核に引っ張られて歩いてたりしゃがんだりしただけでまた肛門の外へ落ちてくるようになります。
内痔核のⅣ度は出っぱなしの状態と先ほど言いましたが、これはつまり内痔核と外痔核が完全に一体化してしまった内外痔核になっていることがほとんどなんですね。だから、排便後に入れてもすぐに落ちてくる、出っぱなしになってしまうんです』

Dr『はい。脱出するようになってまだそれほど時間がたっていないんでしょうね。
で、先ほどのジオンですが、これ、内痔核をギューッと硬く小さくして、出てこないサイズに押さえ込んでしまう薬です。とってもよく効くんですが、内痔核部分にしか注射できないんですよ。外痔核の部分は残ってしまうので、内外痔核になったものは注射しても結局出っ張りは無くならないんですね。
ですから、内外痔核の状態にまで育ってしまったものに関しては今まで通り切り取っちゃう手術しかないんですが…』

Dr『はい、おそらくは。
薬なので、効き方に個人差はありますが、この大きさならまず出てこなくなるなるところまで小さくなります』

Dr『おっしゃる通りです。切り取っちゃう手術と違い、内痔核を上から押さえ込んでしまうようなものなので、何年かたつと再発する方が出てくると言うことが分かっています』

Dr『手術のメリットは完治、です。今あるものは無くなっちゃう訳ですから。
対して、ジオン注射、今はジオンと言わずにALTA注射と言いますが、これの最大のメリットは痛みがない、日帰りで出来るという点です』

Dr『入院は術後1週間、退院後もすぐに普通に戻れる訳じゃなくて、仕事は2~3週間お休みになることが多いです』
い、1週間…(;゜0゜)


Dr『はい。1つは術後の痛み、特に排便時の痛みがあげられます。もちろん切り取る手術なので出血も多少ありますし、いろいろひっくるめて大体安心して帰れそうな気がするのが平均術後7日くらいの方が多いってことです。
そして、退院してからも、術後2~3週間は血管を縫ったところが外れて止まらない出血を起こすことがありますので、その間は無理しない、遠くへ行かないなどの制約があるんです』

Dr『そうですね。
結局、排便って自分でコントロールなかなかしきれないですし、痛みも出血も、これは身体の方の問題で技術だけではどうしようもないんですよね』

Dr『長期でみれば再発する可能性があることです。
若い方はすぐに入院長期ってなるとなかなか難しいので、とりあえず仕事や子育てでなかなか休むのが難しい場合、いずれ時間ができたら根本手術をする、それまでの繋ぎという捉え方でいいのかもしれません。その結果、一生押さえ込んでしまえたならいっそラッキーですしね(^^)』


Dr『あ、あと、所詮薬ですので。
身体に薬が合わないと、副作用が出てくることがあります』


Dr『例えば注射中に少し血圧が下がる、数日熱が出る、血がにじむ、腫れる、痛みが出るなどですね。ほとんどはごく軽微で一過性なのでそのままご帰宅されます。入院になることはまずありません。
ただ、本当に身体に薬が合わないと、注射して2~3ヶ月たった後に、注射した所に反応を起こして潰瘍ができたり、そこから出血や感染を起こして入院治療が必要になることが、2万人に1人くらいで起こります』

Dr『まぁまず起こらないという数字ですが、起こってしまった場合は早めの治療が大切です。なので、注射治療から3ヶ月は何回か通院すること、また不安なことがあったら必ず連絡して下さることですね



Dr『では具体的な説明に入りましょう』