こちらの記事の最終回です。
A paradox at the heart of gift-giving
https://www.economist.com/science-and-technology/2018/06/30/a-paradox-at-the-heart-of-gift-giving
図1
(第5段落)
『しかしビスケットか果物かの問題はもっと複雑である。豫想[よそう]された通り、男達がビスケットを贈ることを好むのは、女達がビスケットを受け取るのを好む場合よりも多かった。だがそれに関する数字は73%と61%であった。換言すれば、他の2つの問題とは異なり、大多数の女達はぱっと見て判る、甘美な魅力の有る贈り物の方を、長期的な健全さよりも好んだということでもある。果物には長期的価値が有る、と自分達が言ってゐたにも拘[かかわ]らず。』
赤字giftの用法を確認します。
図2
語源は
『c1250.
中期英語
<古ノルド語 gift;
GIVE と同根;
cf. ドイツ語 Gift 「毒,贈り物」,
古期英語 gift (複数形で「結婚式」の意)』
(小学館ランダムハウス英和大辞典)
です。
黄色の例文では「贈り物」を、
ベージュでは「与えること」「贈与」を、
オレンヂでは「賜物」「恩恵」を意味します。
黄緑の用法は「実に簡単なこと」を、
水色は「天賦の才」「特別の能力」を言うものです。
図3
(第6段落)
2文目の「bonsais bouquets」「fruit cookies」の所が理解出来ません。
博士達が設定した「3対」の第1対「満開の薔薇」「薔薇の蕾」の
蕾の方が主語に来て、
「満開」の方が直接目的語の①に成ってゐるのは分かります。
ところが第2対「花の束」「盆栽」や第3対「ビスケット」「果物」が
夫々を合わせた「bonsais bouquets」「fruit cookies」に成ってゐる訳です。
「bonsais」が複数形なのでその後カンマで切れて
「bouquets」とは別語と成るのが妥当でしょうが、
しかしそれなら「fruit 」と「cookies」の間にandが無ければおかしい。
とりあえず、強引に訳しておきます。
『しかしながらこの話のどれも、受け取る側が長期的満足よりも短期的喜びに対する感謝を示すという「通貨」の形で、より熱心に支払う気がある理由の説明には成らない。もしも感謝の市場が正常に機能してゐるならば蕾は花、盆栽花束、果物クッキーに勝つだろう。だが実際には蕾にその力は無い。』
赤字pleasureの用法を確認します。
図4
語源は
『c1370.後期
中期英語(→PLEASE,-URE);
中期英語 plaisir に取って代わる
<中期フランス語(不定詞の名詞用法)
<ラテン語 placēre 喜ばす』
(小学館ランダムハウス英和大辞典)
です。
黄色の例文では「楽しみ」「愉快」「喜び」を、
ベージュでは「光栄」を、
オレンヂでは「楽しい事柄」を表してゐます。
黄緑の用法では世俗的・肉体的「快楽」を、
水色では「好み」を言ってゐます。
アメリカの楽団Kool & the Gangクール・アン・ザ・ギャングの曲
『Celebration』の歌詞中にこの「What’s your pleasure?」が登場します。
https://www.youtube.com/watch?v=xvX_5ym_ajI
(1:26辺り)
併せてpleasureの動詞用法を見ます。
図5
「喜ぶ」「楽しむ」の意であり、
「何を」をinの句が述べてゐます。
この記事に関しては以上です。
尚、しばらく更新をお休みします。