「広報」という職種に就いて、もうすぐ丸9年を迎えようとしています。
今では広報という職種に巡り会えたことに感謝しているし、広報は天職だと思っています。
昨年末、上長とのフィードバック面談があって、
自分はどんな広報人になっていきたいのか、どんなキャリアアップを望んでいるのか・・・、
そんなことを聞かれ、ふと、広報という職種に出会った時のことを思い出しました。
新卒で配属となった部署で丸5年が経ち、6年目を迎えた春、
いつもの“大型”人事異動・組織変更が発表されるとのことで、周囲がガヤガヤをしていた時でした。
異動が激しい会社であったにもかかわらず(3ヶ月か半年に一回)、
所属部署内の組織変更は経験したことがあるももの、
部署外へ出たことが一度も無かったので、「今回も(異動は)無いだろうな~」と、のほほーんとしていた時に、
人事異動・組織変更の会議から帰ってきた本部長から、
「めぐみちゃん、広報室へ異動だってよ!」と。(←ちなみに女性の本部長)
部署内、えーーーっというどよめきと驚きの顔、顔、顔・・・。
今思えば、本当に可愛がっていただき、大切に育てていただいたので、
5年も育てあげた、娘のような私が異動となることに、私以上に周囲がビックリしていたことが今でも記憶に残っています。
いざ異動の日も、本部長から、
「いまのめぐみちゃんなら、私は自信を持って(広報室へ)送り出すことができるわよ」
と温かい言葉を贈ってくれたこと、今でも忘れません。胸に焼き付いています。
当時の広報室は、なんだか雲の上の存在的な部署で、
相当ハードなのか何なのか、広報室の女性社員はみな、一年以内に退職してゆき、残っているのはall男性社員、
・・・という、かなりむさくるしく“いわくつき”の部署でした。
そんな「雲の上の、むさくるしい、いわくつき部署」へ異動となることに対して、
正直、「イヤだ」、この気持ちしかなかったですね(苦笑)
4月中は仕事の引継ぎと、広報室の半々生活を送り、
5月から正式に異動しましたが、
上場企業にとって5月・6月は、期末決算、決算発表に説明会開催、ロードショー(投資家訪問)、株主総会、etc
などなど、一年でもっとも忙しい時期で、
しかも秋に東証一部へ上場するとのことで、その上場準備も同時進行でおこなうという、
恐らく、会社設立以来、Best3に入るのでは、、、というほどの激務ぶりでした。
そして異動したての私は、広報でも難度の高いIR担当となり、
なんにも分からないのに事業報告書やら株主優待の商品選定やらパンフやらの制作も任され、
一番驚いたのは、東証一部上場準備室も兼務してくれ・・・との上からの指令。
広報の仕事も満足にできないこの私が、なんで一部上場の準備もやらなくちゃならないんだ(泣)
・・・と、毎日泣きそうな、いや時々泣いた日々を送りました。
広報室へ異動してからの半年間は、とにかくしんどかった。
楽しい思い出は、この半年間に限ってはありませんでした。
ただただ、忙しい・苦しい・しんどい・ストレス溜まる・もう辞めたい(異動したい)・・・そんな思いばかりがループしました。
「これが女性社員が続かない理由か・・・」と、打ちのめされた気分になりました。
そんな中、広報室へ異動して半年後に、恒例の人事異動・組織変更があり、
個人的にそりが合わなかった室長が異動となり、女性の広報課長、人事部から異動してきた室長が就くこととなったのです。
仕事ぶりに定評のあった女性課長のおかげで、私も少しだけ居心地がよくなりました。
しかし反面、広報室内での人間関係や、同僚らの仕事に対する考え方・向き合い方などに疑問を持ち始めました。
自分が思う以上に、その疑問や不信感が大きくなってゆき、
仕事にも影響が出始めてしまいました。これは私の弱さの影響もあります。
私は悩みに悩んで、年末年始休暇があけた1月はじめ、
課長に相談しました。
ただ、そのときは人間関係や同僚のことには一切触れず、
私なりに思う広報室の仕事の仕方や問題点などを訴え、
他の部署への異動を申し出ました。
課長は理解してくれ、室長も異動の許可をだしてくれました。
が、数日後、課長に呼び出されました。
なんと、副社長が私の異動に反対しているとのこと。
当時の副社長は、広報室と経営企画室の担当役員に就いており、
副社長はいつも優しく接してくれ、見守ってくれ、本当にお世話になっていました。
でもなんで副社長が反対を・・・、私には分かりませんでした。
そして「副社長がMegさんと2人きりで話をしたいといっている」と告げられたのです。
数日後、副社長と話し合いの場がもたれました。
副社長から言われたのが、
「Megさんが異動したいということを、課長、室長から聞いたよ。
でも、僕は反対した。
僕はMegさんの広報マンとしての仕事ぶりを高く評価している。
Megさんが広報室へ異動してきてから、広報室は変わった。
Megさんが作成する資料なども、投資家やアナリストからの評判も高い。
僕は広報室に残って欲しいと思っている。
課長・室長から、Megさんが異動したいと願う理由を聞いたが、
僕はそれが全てではないんじゃないか、他に理由があるんじゃないかと思っている。
もし僕の勘が当たっているのなら、ここで素直に話して欲しい。」
と。
副社長から、まさかそのようなお言葉をいただけるとは・・・、驚きました。
そしてとても嬉しかったです。
こんな私のことを、評価していただいたこと、傍で見てくれていたこと。
数千人も社員がいる大企業で、私のようないち社員を見てくれていたとは・・・。
私はそんな副社長に隠し事をしてはいけない、と思い、
自分が思う全てを伝えました。
自分が納得できない人間関係について、仕事内容について、思うこと全てを。
聞き終えた副社長は、「話してくれてありがとう」と言ってくれました。
そして、実は他の部署、支店などからも、私が話した内容についてクレームがきていることを打ち明けてくれました。
副社長は気付いていたのです、もしかしてそのことが原因で異動したいと言っているんじゃないか。。。と。
副社長から、
「時間はかかるかもしれない。けれど、必ず解決するから、広報室に残って欲しい。」と説得されたのです。
私は副社長を信じることにしました。
副社長はそれから半年間の間に、全てを解決してくれました。
そしてその頃には、私も広報という仕事の楽しさややりがいを見出し始め、
「あの時、異動しなくて良かった。広報室に残ってよかった。」と、心からそう思えたのです。
私が今、こうして広報の仕事に就けていること、広報を天職とまで思わせてくれたのは、まぎれもなく副社長のおかげなのです。
あのとき、広報という仕事の辛さ・苦しさだけしか味わっていない私が悩みを抱えたまま異動していたのなら、
私が広報という職種に対して思う印象は相当悪いままだったことでしょう。
会社を辞めるときも、副社長に真っ先に報告し、そしてお食事にも誘っていただきました。
副社長からは、「いつでも戻ってきていいよ」と、ありがたいお言葉をいただきました。
逆に、新しい職場(今の職場)で、頑張って結果を出さなければ副社長に申し訳ない、と思いました。
4月から、広報歴10年目に突入します。
初心を忘れることなく、副社長の恩にそむことなく、
これからも精進していかねば、と思う今日このごろです。
Meg