平群町椿井の橋本集落の東端の旧道沿いに小さな祠があります。



中には役行者さま(※後述)とお地蔵さまが納められています。



役行者さまの足元を覗き込むと、台座が道標になっていました。



右から 「東 法隆寺 西 十三峠 北 生駒山」 、



左側には 「施主 講中 先達? 新十郎 先達 源兵衛」 と刻まれています。



台座の右側面です。文字は無いようです。



台座の左側面です。こちらにも文字は確認できません。



背後にカメラを差し込んで撮影。像の背面に文字は無さそうです。



像と一体化した台座の裏側にも文字は確認できません。



左の道は国道168号の1つ北側の旧道(清滝街道)です。



竜田川と小さな祠。









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橋本集落の東端の旧道沿いに小さな祠があり、中には石仏が安置されています。

左側は、お顔の雰囲気は違いますが出で立ちなどを見ると役行者さまでしょうか。あごひげが欠けたような跡があり、あちこちに割れや修復痕もあります。

線香立てなどをよけて下部を覗き込んだところ、台座には 「東 法隆寺 西 十三峠 北 生駒山」 と刻まれており、道標になっているようです。像と台座は一体化しています。裏側も確認しましたが紀年銘は見当たりません。

ちなみに右のお地蔵さまには文字は確認できませんでした。前掛けの下にいろんな物がひそんいたので写真の掲載は止めておきます。

仏さまの台座(台石)が道標になっているものは県内で20例ほど確認していますが、とくに似た形式(台座の前面に三方位の行先と施主名が刻まれる)のものと言えば、同じ平群町の梨本にある明和3年の 如意輪観音の台石道標 があり、そちらには 「北 ほうざんじ 東 まつのお 南 しぎさん」 と刻まれています。

また、役行者道標は県内では、明日香村栢森(自然石型)、野迫川村柞原(舟形光背型)、天理市二階堂上ノ庄町(角柱型)、天理市永原町(半自然石型)、などに現存しています。

この道標は生駒方面、法隆寺方面、十三峠方面を案内していることから、元は100mほど西の、十三峠越、立石越、清滝街道の辻にあたる椿井橋あたりにあったのでしょうか。現在椿井橋のたもとには、弘化4年と大正3年造立の3基の道標(ABC)が立っており、橋本は古くからの交通の要衝であったことがうかがえます。

ちなみに椿井橋は2014年に道標の反対側(西側)に架け替えられたため、道標が移動したようにも見えますが、道標の位置は以前と変わっていません。

↓  旧椿井橋時代の道標(左)と、椿井橋架け替え後の道標(右)。 



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・各面の内容 

[正面]_東、法隆寺、西、十三峠、北、生駒山、
            施主、講中、先達?、新十郎、先達、源兵衛 
[他面]_文字なし 


橋本集落東端 (清滝街道・十三峠越・立石越) 



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