電話で泣かれたの何年ぶりだろう


いつもは私から切るけど
今日は彼に電話を切らせてあげた
最後だし


いないと思うけど俺よりいい男見つけてな


笑ってバイバイ



朝方、一緒に寝ていたワンコが急に鳴り出した雷に怯えて
ぶるぶる震えて私にすがりついてきた


小さな白い体を膝に抱きしめて
大丈夫大丈夫と 彼を想った



仕事をサボって車で泣く彼を抱きしめてあげたかった


私を自分勝手だって責める彼を

電話もLINEもダメと言った私に
頼むから全部取り上げないでくれと懇願する彼を



雷がやんで また人の枕にドカッと横たわりスヤスヤ眠るワンコをしばらく見ていた


守らなくちゃいけない存在


彼には彼の守るべき存在がある
責任がある


もっともっと出世して
早く忘れてね



 

大の大人が最後に会ってくれと追いすがる


なんだかかわいそうになって
会ってぎゅってしてあげようかとも思ったけど
離れがたくなっちゃうからやめた


優しくしてくれて
笑わせてくれて
親身になってくれた

嬉しかった
でももうおしまい


はじめから決めてたから
ひと夏の楽しいこと

旅行に行って時間を忘れてはしゃいで
たくさん笑っておしまいにした


ちょっと寂しいくらいが別れ時


ばいばい
家族を大事にね


 

送別会が重なってて奢るのはちょっと厳しいかもだけど今週どうする?



既婚者と付き合うメリットは
お金がかからない、美味しいものをご馳走してもらえる、ワガママ放題、なのにねぇ。



自分の立場を忘れて 嘘の飲み会、出張で家族を騙し、それでいて普通の恋愛が出来ると思ってる。おめでたい。



私の気を引く言葉をたくさん見つけて
離れたくない離れたくない、
うわ言のように呟きながら甲斐甲斐しく動く温かい体



もう少し可愛がってあげたい気持ちもあるけど
金の切れ目が縁の切れ目。


私のことはもう諦めて。