覚悟はしていたが、ついにその日が来たようだ。

 

 

毎日続く酷暑。

 

せまる納期と過労とストレス。

 

その日失った水分をアルコールで補填する日々。

 

減らない体重と変わらない体型。

 

 

 

「俺、、、いいのか?こんなんで。。。」

 

 

 

西日の熱気が残るトイレに座り、ひとりつぶやく。

 

白壁にかかったカレンダーは、

 

八月の週末すべて塗りつぶされていた。

 

 

 

 

ふと下を見ると、、、

 

 

 

 

見慣れない光景と色彩。

 

 

 

 

 

 

 

真っ赤に染まって見えたのは決して夕日のせいじゃない。

 

 

 

 

今自分に何が起こっているのか理解出来ないで、ただ狼狽える俺。

 

 

 

 

50歳を目の前にして

 

「始まっちゃったのか?」

 

それとも、、、

 

「終わっちまうのか?」

 

 

 

立ち上がる事も出来ず、ただ頭を抱える俺。

 

 

 

でも何故か冷静に記憶をたどっている自分もいた。

 

 

 

 

 

あれは独立する前だったから12年近く昔のこと。

 

 

 

 

 

あの時も確かによく似た状況だった気がする。

 

絶望と不安のまま駆け込んだとある病院の受付。

 

正確に言えば、内股で小走りが正解かもしれない。

 

 

 

そうすることに決めたのは、

 

 

青い天使の看板が心癒やしてくれたから。

 

 

 

そのあとの事は良く覚えていない。

 

眠りから覚めるまでの出来事が欠落したままなのだ。

 

 

 

問診中、確かに先生はこう言った。

 

 

 

「もう自分だけの体じゃないんだから、もっと大事に労らないと。」

 

「肥満、喫煙、暴飲暴食に過労、要件が充たされてるね!」

 

「処置はしますが一度検査を受けた方が?」

 

 

 

話の途中ではあったが全てが分かった気がした。

 

 

 

新築したばかりの我が家と家族の笑顔、

 

これから始まる独立の夢が脳裏に浮かぶ。

 

 

 

僕はひと呼吸置いたあと、虚ろな目で尋ねた。

 

 

 

「先生っ!手遅れなんですか?」

 

 

 

先生はカルテ越しに頷くと、

 

そそくさと後ろにたたずむ若いナースに、

 

処置の準備を促した。

 

 

 

 

 

 

僕は言われるがままに若いナースに従って診察台に上がる。

 

 

先生は、指先の血管まで浮き出たような手袋をはめながら、

 

 

僕を見下ろしていた。

 

 

その横で若いナースがぎこちない笑顔を向けていた。

 

 

名札の一文字に高いの「高」がついた子だった。

 

 

 

 

 

「こんな感ぢでいいですか?」

 

 

 

 

もっと聞きたいことがあるはずなのに、

 

僕の口から出てきた言葉はそれだった。

 

 

 

 

慣れない姿勢のまま先生を見つめる。

 

 

 

 

「もっとチカラを抜いて!」

 

 

 

 

言葉とは裏腹に僕の体は硬直していく。

 

 

 

 

 

慣れた手つきで先生が中指を突き立てたその時、、、

 

 

 

 

 

懺悔と祈るような眼差しで、声にならない声を上げる。

 

 

 

 

「先生っ!堪忍して下さい。。。」

 

 

 

 

 

 

先生は頷く訳でもなく、伸ばした腕の感触を確かめるが如く、

 

 

 

それはまるでチャンピオンのラッシュのように

 

 

 

淡々と業務を遂行したのでした。

 

 

 

そこには確かに勝者と敗者が存在していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、、、負けたよ〜!」

 

 

 

 

薄れゆく意識の中で僕はずっとずっと叫んだ。。。あの日。

 

 

 

 

 

 

 

人生における勝ち負けは

 

 

自分との闘いの結果かもしれない。

 

 

ふいに降りかかる不幸や困難は、

 

 

時には誰かの救いが必要であるが、

 

 

そこに結果が存在するのであれば

 

 

自分の思考習慣も

 

 

災難を招き呼ぶ原因の一つに違いない。

 

 

 

 

「負けるな自分。」

 

 

「座ったら立つんだ自分。」

 

 

 

 

見えざる者の声がする。

 

 

 

 

「世界中の不幸や困難に比べたら

 

 

お前のお尻なんて蚊に刺されたようなもんだ。」

 

 

「余命10年の気持ちで生き抜いてみろ〜!」

 

 

 

 

なぜかスッキリした気持ちでトイレを出た。

 

余命10年はどう考えても半端に思えたが

 

今後の目標が明確になった気がした。

 

 

 

 

どうやらこの世の肉体は借り物だとは言っても

 

使い捨てで返す訳にはいかないらしい。

 

 

 

 

痛い目に遭わないと改心しない畜生はもうごめんだが、

 

 

僕は再びあの診察台に上がるだろう。

 

 

結局悪夢と妄想に苛まれながら。

 

 

 

だからと言って

 

ずっと立ちすくんでばかりいられない。

 

 

 

そうさ人生はいつだって

 

座ってなんぼの椅子取りゲーム。

 

 

 

 

8月になったらキャンプにも行く!

 

花火見ながら冷たいビールも飲む!

 

信州までドライブにも行く!

 

笑い文字の上級講師養成講座後期もチャレンジする!

 

名古屋まで自由席の空席があったら遠慮無く座ってやる!

 

 

そして、8月18日(土)の講演会↓

 

 

 

 

全国講演会ツアー中の笑い文字普及協会代表

 

 

 

廣江まさみ先生が静岡県にやってくる。

 

 

 

このせっかくの機会

 

 

 

ちゃんと座って聴きたいんです!

 

 

 

 

自分の目の前に今ある椅子。

 

あなたなら座りますか?

 

諦めますか?

 

 

 

 

 

チャンスとか幸せって以外と目の前にあるものだったりして。。。?

 

 

 

失って気付かされる人生と手にして分かる幸せ。

 

 

 

僕が学んでいる笑い文字には

 

この幸せのキーワードが隠されています。

 

笑い文字に興味のある方是非この機会に、

 

笑顔の在りか探してみては?。。。