印刷する際に使うスキージ。武士で言えば「刀」のようなもので、ゴムの部分を「スキージ・ブレード」と言うので。
このスキージ、ゴムの部分だけでもいくつかの種類が有ります。
横から見た部分の「厚み」、スキージ・ハンドル(柄)の付け根から出ている部分の「長さ」、刷る絵柄に合わせて選ばなければならない「横幅」、そしてゴムのしなり具合を左右するゴムの「硬度」です。
もっと細かくお話しすると、ゴムの素材にも色々あります。
さて、このスキージ。初めてお使いになられる方からのご相談で良く有るのですが「どれが普通ですか?」と言うもの。
こう聞かれると、率直にお話しして「人によります」としかお答えできません
シルクスクリーン印刷では、スキージは大切な道具の一つですが、その他にも色々な道具・材料を使います。そして、そのどれもが、印刷の状況に影響を与えるものばかりです。
例えば「版」
これの「乳剤膜厚の違い」・「撥水性」はインクの透過する量に影響を与えます。
そして「インク」
これの「粘度」もインクの透過量に影響を与えます。
まだまだあります。
材料では無く、印刷の状況で言えば、
印刷素材と版の隙間。「オフコンタクト」と言われるものですが、これの違いは印刷のシャープさ。逆に言うと「滲みやすさ」に影響を与えたり、印刷素材の織り方の違いによっては、この隙間の有る無しは生地のけば立ちの原因の一つにもなります。
そして、これが一番大変
印刷する時の、スキージを引く圧力。スキージ圧若しくは印圧と言いますが、これ又インクの透過量に影響を与えます。
実際、上の全てを全く同じ条件にして、筋力の凄い男性と、とってもなでしこな(笑)女性に刷ってみて貰って下さい。
スキージブレードは「ゴム」です。
力を加えるとしなります。スキージングの際に、同じ人が同じ印圧で刷ると、硬いゴムより軟らかいゴムの方がしなってしまいます。言い換えると、スキージがより「寝て」しまいます。そうすると(この部分だけみると)インクが多く落ちます。
同じように、同じ固さのゴムでも、厚みが無い方が、厚いゴムよりよく「しなり」ます。
粘度が硬いインクを使うと、スキージングにより力が必要になりますから「しなる」ことになります。
ちなみに同じ硬さで同じ厚みのスキージ(ブレード)でも、巾が長くなるほど「しなり」ます。
時々「水性用のスキージを下さい」とかお問い合わせされる事もあるのですが「はい、これをどうぞ」とはお勧めしないのは上記の理由からなのです。
冒頭にも少し書きましたが、ゴムの素材が色々あるのすが、溶剤型のインクをお使いの場合、「耐溶剤性」に優れているブレードをお使いになった方が、長持ちするので良いですよと言う事で、決して「このスキージは水性用」とか「油性用」とか分かれている訳ではありません。
「どんなスキージを使えばいいですか?」
と、お問い合わせ頂ければ、
「今、どの様なスキージをお使いで、どんな事にお困りですか?」
と反対にご質問させて頂く事になります。
弊社では常時厚さが6mmと9mm、硬さが60度・70度・80度をご用意しています。
便宜上、70度を「普通」と称していますが、迷った場合はお問い合わせ下さい。