結合係数の計測でコイルの巻線抵抗を無視して大丈夫なのか? | ワイヤレス給電を操るためのパワエレ技術講座|コイルの位置ずれ対策

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がパワエレ技術でどのように解決できるのか。
ワイヤレス給電とパワエレの両面から、双方向ワイヤレス電源の開発実績に基づいたノウハウを解説します。

トランスなど2つのコイルの相互誘導における結合係数の測定方法について、

計測器メーカや技術情報サイトなどで様々な解説がなされています。

 

これらの多くの解説がコイルの巻線抵抗を無視していますが

巻線抵抗を考慮しなくても結合係数は計測できるのでしょうか?

 

一般的な解説では、結合した2つのコイルの

片側オープンと片側ショートのときのインダクタンスを使って

 

結合係数  は

 

 

で求めます。

 

これは、コイルの自己インダクタンスが  のとき

 

 

となるからです。

 

 

では、コイルの巻線抵抗を考慮して、コイルのインピーダンス

 

 

の場合はどうでしょうか?

 

 

片側オープンのインピーダンスは

 

 

となるため、

 

 

として、巻線抵抗を無視した場合と同様に、

自己インダクタンス  を計測することができます。

 

次に片側ショートのときのインピーダンスを

 

 

としてインピーダンスを計測すると

 

 

という計測結果が得られます。

 

このように少し複雑な式となり、巻線抵抗を無視した場合と同様の手法で

結合係数を求めることはできないことがわかります。

 

また、式から計測値は で変化することがわかりますが、

これはインピーダンス計測に使用した電源の周波数によっても

計測結果が変わるということです。

 

やはり、巻線抵抗を考慮すると演算がかなり面倒になるため、巻線抵抗は無視したくなります。

実際に無視できるかどうかは、自分で判断するしかないのですが、

 

式から考えると

 

 

であれば巻線抵抗は無視できるでしょう。

 

つまり、

鉄心を使った通常のトランスであればインダクタンスが大きいため巻線抵抗を無視できますが、

ワイヤレス給電のような空心のトランスでは、巻線抵抗を無視できるかどうか慎重に判断する必要があります。

 

 

では、巻線抵抗を考慮した場合の結合係数は、どのように計測すればよいのか、

これは次の記事にしたいと思います。

 

つづく…

 

 

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