前回の記事 「T型等価回路とは、回路の何が等価なのか?」 では、
2つのコイル(トランス)の相互誘導の等価回路と回路方程式について説明しました。
ワイヤレス給電には、このようなコイルの相互誘導を応用した電磁誘導方式(磁界結合方式)のほかに、電極間に起こる静電誘導を応用した静電誘導方式(電界結合方式)があります。
(※方式分類の説明記事はこちら)
この2つの方式には、双対性があるため回路方程式の形は同じになります。
静電誘導方式のワイヤレス給電の解説記事や論文で、この双対性を考慮している資料が見つからないため、今回のブログでは双対性から見た静電誘導方式の理論と等価回路について解説します。
●双対性とは
まず双対性とは何かについて簡単に説明しておきます。
L と C の双対性
自己インダクタンス |
静電容量 |
このように、自己インダクタンス L と静電容量 C に関する電圧 v と電流 i の関係式において、電圧 v と電流 i とを入れ替えることで同じ形なることを、「L と C に双対性がある」といいます。
●相互電磁誘導と相互静電誘導
ワイヤレス給電の電磁誘導(磁界結合)方式の原理である相互誘導は、次式で表されます。
この電磁誘導方式の相互誘導を相互電磁誘導と言うならば、静電誘導(電界結合)方式の原理は相互静電誘導と呼べばわかりやすいでしょう。
そして、相互静電誘導を表す式は、相互電磁誘導との双対性に基づいて考えればは次式になります。
●等価回路
この相互静電誘導の式を満たすのが次のようなπ型等価回路です。
π型等価回路
このπ型等価回路の回路方程式は相互静電誘導の式と一致します。
●結合係数
相互静電誘導における結合係数 k も相互電磁誘導との双対性から
と定義できます。
以上のように、双対性に基づいて考えれば、電磁誘導(磁界結合)方式と静電誘導(電界結合)方式は同じように扱えるので、静電誘導方式の原理や回路特性の説明には、以下のような電磁誘導に相当する用語を定義するとよいのではないでしょうか。
電磁誘導(磁界結合) | ![]() |
静電誘導(電界結合) |
相互電磁誘導 | ![]() |
相互静電誘導 |
自己インダクタンス | ![]() |
自己静電容量 |
相互インダクタンス | ![]() |
相互静電容量 |
漏れ磁束 | ![]() |
漏れ電束 |
ちなみに、相互静電誘導による結合のイメージを図にするとこんな感じです。
この図からも相互電磁誘導と双対性があるように見えませんか?
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