宇  野  昌  磨 


 ✨北京オリンピック ✨


  2月4日(金)  団体戦

 ショートプログラム

 オーボエ協奏曲

 レベルアップした

 ジャンプの検証



全日本後の1ヶ月足らずの期間で積み重ねた研究と探求心。その結実を見た。



前回のブログで気になる箇所を挙げたが、この短期間でかなり改善されていることに驚いた。

別人かと思う程の部所も。


✨一番気になっていた離氷時における腰の沈みこみ(出っ尻)が軽減されていた。

これにより、跳び上がる瞬間の足腰への負荷が減り、ポンと跳ね上がることが可能になった。軽みが出たのだ。

これは体勢の変化によるものだ。今までは前のめりになっていたのでみぞおちから上つまり胸や頭の重みが全て足腰へのしかかっていた。その負荷に負けないため直前に膝を余計に曲げて力を貯め(これが原因で腰が沈み出っ尻になる)そして踏ん張って跳び上がる。このワンクッションは体力だけ消化する無駄な動作だった。

ポージング的にもスタイリッシュではない。

今回は、上半身は前傾するが背中は真っ直ぐのまま。これで負荷は減りそのため膝を軽く曲げる程度で跳び上がることが可能になった。

サッと構えサッと跳ぶ。

願っていた軽快さが遂に出現したのだ。

長年の癖を短期間でここまで修整したことに驚いたが、これは共に練習する鍵山君の影響が大きい。

宇野がつぶさに観察したのか眺めるうちに自然に身体が取り入れたのかはわからないが…

その鍵山も宇野がいるからということでこの中京にやって来たのだ。

宇野へのリスペクトが無ければ今の状況は出現していなかった。

オリンピック直前というタイミングで強力なリンクメイトを呼び寄せる形となった。何の画策も無く実に自然な形で。あるのは互いへの尊敬と敬愛のみ。


長年望んだ環境が整ったことに宇野はどれだけの喜びを感じているだろうか。

この偶然は天からの贈り物と思っているかもしれない…自身の無垢な思いが運命を動かした事など知る由もなく。

宇野の我欲の無さはこのような奇跡さえもたらす。

その強運ぶりに震えが止まらない。



✨着氷時の膝の使い方が格段に柔らかに。

膝や足首の曲げ具合、腰の屈伸や位置もコントロールされドカンという着氷が消えた。加えて着氷時瞬間のくの字体勢がかなり改善されて来ている。

上半身の前のめり具合が減ってしかも着氷瞬間に背中(頭)を床垂直に(天上方向)戻す、つまり背中を反らすという意識が見受けられる働。

これに連動して以前は竹トンボのように真っ直ぐ突き出していた腕も、自然に広げる様に変わって来た。直線ではなく組み離れた腕の移動にラウンド感が生まれた。



✨着氷時の流れに関して以前はアメリカの解説者にTiny Circle(小さな円)と言われていた。つまり気味ということだ。

それがアメリカ杯の頃から綺麗な大きなトレースを常に描くようになった。

それは日を追うごとに安定し、足首のエッジの倒し具合が進化したことを窺わせる。柔らかい靴になったからこそ彼本来の技術が戻ったと言い換えることもできよう(ノービスの頃既に完璧。秀逸であったw)

中でもトリプルアクセルにおける着氷の流れは、誰もが感嘆の声をあげてしまうほど素晴らしいクオリティーを要し、加点獲得の優秀な武器へと昇華し現在に至る。

流れと共にそのポージングに惚れ惚れしてしまう人は大変多いと思われる。


✨低かったフリーレッグも唸るほどに変わって来た。高い位置で脚を差し出せるようになったことは大きい。後方に移動した際の脚の気持ちの良すぎる程の伸びやかさよ。

つま先が床スレスレだった頃が懐かしい。



ザッと挙げただけでもこれだけあることに驚愕する。

無駄なものが削ぎ落とされて徐々に洗練されていくこの男のジャンプ。

来シーズンからの課題はいよいよジャンプの高さということになるだろう。

何しろこれに目を瞑っていてはこれ以上の加点は望めないのだ。


しかし彼はしっかり向き合い課題を克服していくだろう。

毎日の1つ1つの小さな進化に最高の歓びを感じながら…

絶賛成長中の彼をこれからもまったりしっかり眺めて行こうと思う。



これからの長い長いスケート人生という彼の言葉は、旧歴明けの我々への嬉しいお年玉だったのかもしれない。